JRAキセキ「痛恨」再教育は先延ばし!? 凱旋門賞(G1)武豊「迷いなく参戦」で京都大賞典(G2)”臨時講師”はあのダービージョッキー
17日、武豊騎手が凱旋門賞(G1)に、キーファーズが共同所有する愛国調教馬ジャパンとのコンビで参戦することが正式に決まった。武豊騎手も「近況の成績からジャパンは伏兵でしょうが、しっかり準備していきます」とコメントし、3年連続9度目の挑戦に強い意欲を見せた。
武豊騎手にとっても凱旋門賞制覇は夢であると公言しているほどの悲願である。
自身の公式サイト内で「ボクは迷いなく参戦するつもりです。帰国後に2週間の自宅待機があるとしてもです。それほどの夢が、凱旋門賞には詰まっていると思っています」と心待ちにしている日記を掲載していた武豊騎手としても、ジャパンの騎乗が正式決定したことは朗報だったに違いない。
その一方、レジェンド騎手の凱旋門賞挑戦が痛恨の痛手となりそうなのが、コンビを組んだ前走の宝塚記念(G1)を6番人気で2着に好走したキセキ(牡6、栗東・角居勝彦厩舎)陣営だ。
ここまで2回のコンタクトでキセキの持ち味を十分に引き出す騎乗を見せた武豊。キセキ陣営としては、京都大賞典で3度目の正直を目指していただけに、武豊騎手の凱旋門賞参戦で新たなパートナーを探すことになったのは痛恨だっただろう。
「武豊騎手が10月4日に行われる凱旋門賞に挑戦した場合、日本に帰国後に2週間の自主隔離が必要となります。そうなると、10月11日に行われる京都大賞典(G2)は自主隔離の対象期間に該当してしまうため、レースに騎乗することができません。
今回、浜中俊騎手とのコンビが発表されましたが、おそらく秋の天皇賞は武豊騎手の既定路線のまま、代打騎乗でしょう」(競馬記者)
キセキは主戦だった川田将雅騎手と臨んだ3月の阪神大賞典(G2)で大出遅れをしながら一気に先頭に並びかけるほどの暴走。長距離戦で最も重要とされる折り合いを欠いた結果、直線で力尽きて7着に敗れる大失態を犯した。
そして、一時は管理している角居調教師が、春の天皇賞(G1)参戦を白紙とコメントするほどの危機に陥ってしまう。年齢を重ねたことで父であるルーラーシップの気性の難しさが顕著になりつつあったキセキ。陣営はついに、前走で制御し切れなかった川田騎手の降板を決断。新パートナーとして武豊騎手を背にゲート試験に合格し、天皇賞への出走が叶った。
天皇賞は6着に敗れたものの、好スタートを決めて見事に折り合った武豊騎手とキセキの姿は名コンビ誕生を予感させる内容だったといえるだろう。後日、武豊騎手はレース中にキセキが落鉄していたことを明かした。
さらに期待の大きくなったコンビ2戦目の宝塚記念で、武豊騎手は一転して後方待機策を選択。勝負所となった3コーナーから抜群の手応えで追い上げると、直線ではあわや勝利かと思わせる走りを披露していた。
キセキ陣営としては、秋の天皇賞で史上初のJRAG1・8冠を目論む女王アーモンドアイとの対決を前に、武豊騎手による再教育の成果を確認しておきたかったに違いない。
だが、大一番を前に試走が出来なくなったとはいえ、浜中騎手も昨年のダービーでロジャーバローズを優勝に導いた手腕の持ち主だ。
浜中騎手には武豊騎手の”臨時講師”として、ぜひとも好結果を残すことに期待したい。