JRAスプリンターズS(G1)グランアレグリア“血の宿命”には逆らえない? 「コース適性」「レース展開」に大きな不安が……

 10月4日、中山競馬場で秋のスプリント王決定戦、スプリンターズS(G1)が行われる。『netkeiba.com』の予想オッズで1.9倍(29日時点)の1番人気に支持されているのがグランアレグリア(牝4歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

 昨年は桜花賞(G1)を制し、今年は安田記念(G1)でアーモンドアイを撃破。すでに2つのマイルG1を手にしているグランアレグリアが、次に狙うのがスプリント王の座。ある記者は迷うことなく、グランアレグリアに本命印を打つという。

「安田記念以来、4か月ぶりの実戦はこの馬にとってはベストのローテーション。前走は過去最高の馬体重(492kg)で、そのパワフルな馬体はマイラーからスプリンター寄りになりつつあります。実際に初のスプリント戦となった高松宮記念(G1)では、最も強い競馬をしての2着(3位入線繰り上がり)で距離不安はありません。出遅れや進路をふさがれるなど大きな不利でもない限り、直線で突き抜けてくれるでしょう」(競馬記者A)

 予想オッズが2倍を切っていることからも、グランアレグリアに対するファンの心境は、不安よりも期待の方が大きいはず。しかし別の記者は、グランアレグリアの力を認めた上で「血の宿命には逆らえない」と反論する。

「ご存じの通り、ディープインパクト産駒はこれまで1200mの芝G1では21戦して『0-3-2-16』といまだに勝ったことがありません。グランアレグリア自身も含めて馬券圏内は合計5回を数えますが、血の宿命とでもいえばいいのでしょうか……。確かに高松宮記念では最後の直線で豪脚を見せましたが、同じ1200mでも中山では話は別です。中山コースが初めてというのはディスアドバンテージになる可能性が高いと思います」(競馬記者B)

 ディープインパクト産駒にとって1200mは短いイメージもあるが、アレスバローズやブランボヌールなど、これまで5頭がスプリント重賞を合計7勝している。ところが、競馬場別に1200m戦の成績を見ると、ゴール前に急坂があるコースを苦手にしていることが分かる。

【ディープインパクト産駒の芝1200m場所別成績、勝率順】
福島「16-10-10-82」(13.6%/22.0%/30.5%)
中京「15-20-4-77」(12.9%/30.2%/33.6%)
小倉「30-25-15-205」(10.9%/20.0%/25.5%)
函館「11-13-6-82」(9.8%/21.4%/26.8%)
京都「11-7-10-86」(9.6%/15.8%/24.6%)
札幌「7-4-10-57」(9.0%/14.1%/26.9%)
新潟「5-5-4-45」(8.5%/16.9%/23.7%)
中山「7-2-7-73」(7.9%/10.1%/18.0%)
阪神「5-13-4-69」(5.5%/19.8%/24.2%)
※()内は左から勝率、連対率、複勝率。1200mコースがない東京は除く。

 マイル以上の距離では中央4場で圧倒的なパフォーマンスを見せるディープインパクト産駒だが、1200mに限ると、良績はローカルに集中している。一方、ゴール前に急坂がある中山と阪神での勝率は、ワースト1位と2位。特に中山での連対率と複勝率は際立って低く、コース適性への不安が顔をのぞかせる。

 また、モズスーパーフレアが作りだすハイペースへの対応も大きな課題だ。グランアレグリアがこれまで経験した最も速い前半3ハロンの通過タイムは33秒9。良馬場なら、モズスーパーフレアは33秒0を切るハイペースで逃げるだろう。

 2~3歳時はしっかり先行できていたグランアレグリアだが、初めて距離を短縮した昨年末の阪神C(G2、1400m)以降は中団からの競馬が続いている。今回はこれまでより1秒前後も速いハイペースが予想され、道中は中団10番手以内に位置を取れればいい方だろう。

 現在3戦連続で上がり最速をマークしているように、しまいの脚は確実。しかし、その鬼脚を繰り出したとしても、中山の短い直線では差し損ねてしまう可能性は高そうだ。

関連記事

競馬最新記事

人気記事ランキング 17:30更新

競馬

総合

重賞レース特集
GJ編集部イチオシ記事
SNS