JRAスプリンターズS(G1)モズスーパーフレア惨敗の理由はあの「ジンクス」!? 武豊メジロマックイーンの悲劇から15連敗……
グランアレグリアの独壇場に終わった秋のスプリント王決定戦、スプリンターズS(G1)。対照的な結果に終わったのが、2番人気に支持されたモズスーパーフレア(牝5歳、栗東・音無秀孝厩舎)だった。
高松宮記念(G1)に続く春秋スプリントG1制覇を狙ったモズスーパーフレアは、好スタートからいつも通りのひとり旅を画策するも、道中ビアンフェに執拗に絡まれ、前半3ハロン32秒8というハイラップを刻んだ。直線は案の定、いつもの粘り腰を発揮できず、10着に敗れた。
思い起こせば、モズスーパーフレアがG1初制覇を果たした高松宮記念は、1位入線のクリノガウディーが他馬の進路をふさいだことによる繰り上がりの優勝だった。それでもクリノガウディーとはハナ差で、グランアレグリア(3位入線、繰り上がり2着)をしのいだ強さは本物だった。前走の北九州記念(G3)でも好内容の2着で評価を上げた。今度こそモズスーパーフレアの逃げ切り勝ちを期待したファンも多かっただろう。
ペース以外にも馬場など敗因は幾つか挙げられるが、29年前のあの出来事にも触れておかなければいけない。
1991年10月27日、東京競馬場で行われた天皇賞・秋(G1)。単勝オッズ1.9倍という圧倒的1番人気に支持されたのが平成の名ステイヤー、メジロマックイーンだった。鞍上はすでに一時代を築いていた武豊騎手。不良馬場のなか、先行したメジロマックイーンは他馬をまったく寄せ付けず、2着に6馬身差の圧勝劇を演じた。
しかし、スタート直後に発生したのがあのアクシデントだ。7枠13番から発走したメジロマックイーンはスタート直後に内側に斜行。他馬の進路を妨害したとして、18着への降着処分が下された。G1レースで優勝馬が降着になったのはこの時が初めて。この年の秋の盾を手にしたのは2位に入線したプレクラスニーだった。
G1で史上初の繰り上がり優勝を果たしたプレクラスニーはその後、年末の有馬記念(G1)で再びメジロマックイーンに挑むが、4着に敗れると、脚部不安を発症し、そのまま引退。結局繰り上がりで制した天皇賞・秋が同馬にとって唯一のG1勝利となった。
その後、フサイチパンドラ、ローズキングダム、そして今年のモズスーパーフレアが繰り上がりでG1制覇を経験。しかし、どの馬もその後G1の美酒を味わっていない。06年のエリザベス女王杯(G1)で繰り上がり優勝を果たしたフサイチパンドラが、翌年の同レースで2着に入ったのがG1での最高着順。ローズキングダムに至っては、その後、9連敗で現役を終えた。
今回のモズスーパーフレアの敗戦で、繰り上がり優勝馬は4頭あわせてG1・15連敗ということに……。2位に入線する力を持った馬だけに、勝てていないのは“ジンクス”といえるかもしれない。
ちなみに、G1で(1位入線後)降着になった馬のその後はというと、メジロマックイーンとブエナビスタは、しっかりG1を制覇。降着の無念を晴らしている。
果たしてモズスーパーフレアは現役を終えるまでにこの“ジンクス”を打ち砕くことはできるだろうか。
【G1で繰り上がり優勝した馬のその後のG1成績】
プレクラスニー「0-0-0-1」
フサイチパンドラ「0-1-0-3」
ローズキングダム「0-0-0-9」
モズスーパーフレア「0-0-0-1」
【G1で1位入線後、降着した馬のその後のG1成績】
メジロマックイーン「2-2-0-1」
カワカミプリンセス「0-1-0-5」
ブエナビスタ「1-3-0-3」
クリノガウディー「0-0-0-1」