JRA 6億円ホース・アドマイヤビルゴの“弟分”がデビュー前に「骨折」。近藤オーナー最後の「高額落札馬」に脚部不安は宿命か……
今週末から中央競馬では東京、京都、新潟の3場開催が始まる。京都開催では無敗の3冠をかけてデアリングタクトが秋華賞(G1)、コントレイルが菊花賞(G1)に挑戦。また、東京開催では天皇賞・秋(G1)はアーモンドアイが史上初の芝G1・8勝をかけて出走するなど、楽しみなレースが目白押しだ。
その一方で、2歳新馬戦からも目が離せない。
過去に10月デビューから羽ばたいた馬はキズナ、エピファネイア、サトノクラウン、レイデオロなど挙げればキリがない。2008年10月26日の京都5Rは、後のG1馬が3頭出走した「伝説の新馬戦」として語り継がれているほどだ。
例に漏れず、今年も多くの注目馬が10月にデビューを予定している。その中でも、ザレストノーウェア(牡2歳、栗東・友道康夫厩舎)が注目の的だった。
昨年のセレクトセールにて最高額の3億6000万円で落札されたザレストノーウェア。全姉にG1・2勝のミッキークイーンを持つ良血馬だ。ディープインパクト産駒としては、2歳世代の中でもトップ級の評価を受けている存在である。
同馬を落札したのは、アドマイヤの冠名で知られる故・近藤利一さん。17年のセレクトセールにて5億8000万円で落札したアドマイヤビルゴが今も話題となっている。同じ落札者、友道厩舎所属という点で、ザレストノーウェアはアドマイヤビルゴの“弟分”とも呼べるだろう。
昨年12月に近藤オーナーが他界したため、名義は妻の近藤旬子オーナーに引き継がれた。だが、今年に入ってザレストノーウェアは大塚亮一オーナーに名義変更。そのため、馬名はアドマイヤの冠名がついていないのだ。
ちなみに馬名は「Eclipsefirst, therestnowhere」が由来。英国の名馬エクリプスから生まれたことわざで、日本語に訳すと、「唯一抜きん出て、並ぶ者なし」という意味だ。馬名からも期待の高さが窺えるだろう。
そんな注目を集めるザレストノーウェアは、菊花賞当日の新馬戦でデビューを予定していた。同レースは18年にワールドプレミア、08年にアンライバルドが制したレースだけに、友道厩舎にとって縁起のいいレース。前者は翌年の菊花賞を勝ち、後者は伝説の新馬戦の勝ち馬として皐月賞馬に輝いた。このことからも、ザレストノーウェアにかかる期待の大きさが伝わるはずだ。
しかし、デビュー戦に向けて調整されていたザレストノーウェアは、左後肢を骨折。放牧に出されることになり、デビューは延期となってしまった。