JRA C.ルメール「大暴走」の裏事情。地方競馬だから見抜けなかったアナザートゥルースの勝敗を左右した「決定的」な違いとは
中央競馬と地方競馬には様々な違いが存在する。代表的なものは、前者が芝、ダート、障害コースがあるのに対して、後者のほとんどがダートコースのみということだろう。また、砂質の違いもあり、中央で好走している馬が必ず地方で結果を残すとは限らないのだ。
先週行われた日本テレビ盃(G2)はその“違い”のひとつが生み出した悲劇だったのかもしれない。
1番人気に支持されたのはアナザートゥルース(セン6歳、美浦・高木登厩舎)。近走はJRA重賞で馬券に絡む活躍をしており、船橋コースはダイオライト記念(G2)で勝っている点も信頼の裏付けとなった。
大外枠からの発走だったアナザートゥルースは、スタートと同時に一気に加速。逃げようとするサルサディオーネに競りかけ、1000m通過が58秒6という超ハイペースになった。その結果、アナザートゥルースは最後の直線で力尽きてしまい5着に敗れた。
レース後、C.ルメール騎手は「速いペースで、最後は疲れてしまいました」とコメント。応援していたファンからすれば、自ら作った流れで自爆したことに憤りを感じたかもしれない。
だが、この裏にはアナザートゥルースに予定外の事態があったようだ。
「今まで右回りはモタれるので片方だけブリンカーを着けていましたが、左回りは着けなくてもスムーズに走れるので外していました。それにより、重賞戦線でも好走できるようになっていました。
日本テレビ盃が行われた船橋競馬場は左回り。本当は何も着けないはずでしたが、誤ってブリンカー装着の申請をしてしまったという話が聞こえてきます」(競馬記者)
実際に、3月に同じ船橋競馬場で行われたダイオライト記念(G2)をアナザートゥルースが制した際、高木調教師は「前走はブリンカーが邪魔した競馬で、外してもいいかなと思い外しました」と語っていた。これが勝利につながったとも言えるだろう。
その後、出走した右回りのアンタレスS(G3)とエルムS(G3)はブリンカー着用で出走して、それぞれ2着、3着と好走している。
「陣営は左回りで片方だけ着けると馬が戸惑うと考えて、両方着けて出走させる決断を下しました。さらに、そのことをルメール騎手には伝えていなかったようです。通訳を付けていないので意思疎通が難しいですし、変に不信感を募らせても良くないという配慮があったのかもしれません。
もし、ルメール騎手がアナザートゥルースにいつも騎乗していれば、変化に気づいたかもしれませんでしたが……。その結果、前進気勢が強くなったことによる大暴走のようです」(同)