JRA武豊止まらぬ「負の連鎖」!? 凱旋門賞まさかの「見学」も……日本で直面したかもしれない厳しい現実とは
「勝負服を着ないで観戦することになるとは想像もしていませんでした」
8日、武豊騎手は自身の公式サイトを更新。無事に帰国したことを報告、夢を優先した凱旋門賞(G1)でジャパンの出走取消という予期せぬ結果を振り返った。
世界最高峰といわれるレースの騎乗を楽しみにしていた武豊騎手のショックは計り知れないが、「調教師、オーナーほか、関係者の落胆を思うとボクだけが沈んでいるわけにもいきません。どうしても勝ちたいレースを生観戦できたのも、貴重な経験になることでしょう」と前向きに捉えた。
「これが凱旋門賞じゃなかったら、こういう厳しい状況で行ったかどうか分からない」武豊騎手がそう振り返ったように、現在のコロナ禍が競馬界に与える影響は大きい。日本に帰国したとはいえ、14日間の自宅待機期間が待っている。
“夢”を追い求めた武豊騎手にとっては”現実”に向き合う期間となるのだろう。
その一方、仮に凱旋門賞の夢ではなく、国内での騎乗を選択していたとしても厳しい現実が待っていたかもしれない。
武豊騎手が国内で騎乗していた場合、スプリンターズS(G1)のダイアトニックの他に秋華賞(G1)でデゼルとコンビを組んでいた可能性がある。だが、ダイアトニックは先週のスプリンターズSを13着に敗れたその後、右第1趾節種子骨骨折を発症していることが分かり、全治9か月以上の見込みで休養に入った。
また、ローズS(G2)で4着のデゼルも右前脚の爪に痛みがあることが分かり、同馬を管理する友道康夫は「ここで無理をさせることはないです。先のある馬ですから」と、登録していた秋華賞を回避することになった。
「偶然とはいえ武豊騎手が国内で騎乗予定だった馬に、立て続けで残念な知らせが入ってしまいました。いずれも有力候補の一角だっただけに、武豊騎手が騎乗できなかったことは痛恨でしたが、結果的にそう変わらなかったといえるかもしれませんね。
ただ、代打騎乗となったC.ルメール騎手とのコンビで出走したマテラスカイは東京盃(G2)を出遅れて11着に終わりました。この馬を手の内に入れている武豊騎手の不在は大きかったでしょう。これについては南部杯(G1)で戸崎圭太騎手とのコンビを組むインティにも同じことがいえそうです」(競馬記者)
国が決めたルールとはいえ、日本にいながらも競馬界のレジェンドの騎乗が見られないことは、競馬ファンにとっても非常に淋しいことである。
この自宅待機期間で「英気を養い、菊花賞の週からは万全の体調で復帰します」と日記を締めくくった武豊騎手。
昨年、ワールドプレミアを勝利に導いたレースでの復帰を心待ちにしたい。