JRA「親の七光り」藤田伸二が“痛烈批判”!? 大物2世調教師が京都大賞典(G2)で、あのイメージを完全払拭へ! 父とは対照的に「芝中長距離」のスペシャリストになるか
暮れの東京大賞典(G1)2連覇中のオメガパフューム、昨年の武蔵野S(G3)覇者で、今年のフェブラリーS(G1)4着のワンダーリーデル。ダート重賞でおなじみの2頭を管理するのは、38歳の新鋭、安田翔伍調教師だ。
父は昨年リーディングトレーナーに輝いた安田隆行調教師で、ロードカナロアやカレンチャンを輩出するなど短距離戦にめっぽう強いことで知られる。一方、息子の安田翔調教師は、2018年の開業から、先述した2頭の活躍もあってダートに強いトレーナーというイメージがある。実際にJRAの重賞4勝のうち3勝がオメガパフュームとワンダーリーデルがダートで挙げたもの。オメガパフュームは他にも交流重賞を3勝している。
しかし、この2頭はいずれもデビュー時は他厩舎に所属していた転厩馬だ。オメガパフュームは父の安田隆厩舎所属時に新馬戦を勝ち上がったが、すぐに開業したての安田翔厩舎に転厩。開業初年度から見事な手腕で同馬を一流のダート馬に育て上げた。
ワンダーリーデルの方は、昨年のフェブラリーS(G1)までは沖芳夫厩舎に所属していたが、同師の引退に伴い、安田翔厩舎に転厩。その後、武蔵野Sで初重賞制覇を果たした。このようにダート色が濃い安田翔厩舎だが、今年に入って芝の大物候補が誕生した。デビュー時から同厩舎で管理するキングオブコージだ。
父にロードカナロアを持つキングオブコージは、2018年10月の東京芝1400mがデビュー戦の舞台だった。ここで5着に敗れると、早速ダートに挑戦。しかし、2戦していずれも6着に敗れると、再び芝に戻し、5戦目の1600m戦でようやく勝ち上がる。
3歳時の昨年は1600mを中心に使われたが、結果は伴わず。しかし、今年に入って転機が訪れる。1月の1勝クラスのレースで距離を2ハロン延ばし、2000mに挑戦。すると、これが見事にはまり2勝目を挙げると、その後も2200~2500mという長い距離で一気に重賞馬にのし上がった。父がロードカナロアだけに、適性距離を判断するのにやや時間を要したが、11日の京都大賞典(G2)の結果次第では、今後の中長距離路線の主役に躍り出る可能性もあるだろう。
先述したように、父の安田隆行厩舎は、多くの活躍馬が短距離を主戦場にしている。それに対して、安田翔厩舎の管理馬はダートを得意とする一方、芝なら明らかに中長距離志向だ。同厩舎はこれまで芝で19勝しているが、そのうち14勝が1600m以上でのもの。勝率も1600m未満の6.6%に対し、1600m以上だと11.8%に跳ね上がる。
「思い返せば、開業当初はG1での非情な騎手の乗り替わりに関して、元JRA騎手の藤田伸二氏から『親の七光り』、『助手が調教師になった瞬間先生扱い』など強烈に批判されたこともありました。しかし、父から譲り受けたオメガパフュームをG1馬に育て上げるなど、しっかり結果を出しています。
(今春の)目黒記念後には、キングオブコージに騎乗した横山典弘騎手から『調教師が馬をよく分かっていて、それに馬も応えている。いきなりオープンを勝つのだから、馬も調教師も大したものだよ』と褒めたたえられるなど、評価は上昇中です」(競馬誌ライター)
キングオブコージがさらなる飛躍を遂げれば、ダート色を払拭し、父とは対極の「芝中長距離に強い」トレーナーとして名を馳せるかもしれない。