JRA「問われる価値」無敗3冠と8冠の年度代表馬争いは超難解!? コントレイル、デアリングタクト、アーモンドアイ……カギを握るのはやはりあのレースか
今年の年度代表馬争いは、史上稀に見る大混戦となるかもしれない。
25日に京都競馬場で行われた菊花賞(G1)を制し、コントレイルは無敗のクラシック3冠を達成した。その1週前の18日には秋華賞(G1)を制したデアリングタクトが史上初となる無敗の牝馬3冠を達成しており、同年度に牡牝で無敗の3冠馬が誕生するという異例の年となったのが今年だ。
さらに、11月1日に東京競馬場で行われる秋の天皇賞(G1)は、既に7冠を手に入れている女王アーモンドアイが芝G1・8冠を狙って出走を予定している。勿論、無事勝利を収めることが出来れば、史上初の大偉業となる。
そんな異例づくしとなるかもしれない年だけに、早くも年度代表馬の行方に大きな注目が集まっている。過去、クラシック3冠を制した3歳牡馬は7頭誕生したが、制度開始前のセントライト以外の6頭すべてが年度代表馬に輝いている。
■年度代表馬(1941年セントライトは制度開始前のため、対象外)
1964年シンザン
1983年ミスターシービー
1984年シンボリルドルフ
1994年ナリタブライアン
2005年ディープインパクト
2011年オルフェーヴル
※JRA賞の前身である啓衆賞、優駿賞時代を含む
過去の事例からも、8頭目の3冠馬となったコントレイルが最有力と考えるのが自然だ。
だが、例年ならほぼ「当確」となるはずのクラシック3冠馬に対し、今年は史上初となる牝馬の無敗3冠馬デアリングタクト、秋の天皇賞(G1)を勝てば、史上初となる芝G1・8冠の可能性があるアーモンドアイがいる。そのため、確定には「審議」のランプが点灯している状況である。
「もし、アーモンドアイが8冠を達成するようなことがあれば、コントレイルもうかうかできません。無敗の3冠馬とはいえ、シンボリルドルフやディープインパクトに続く3頭目でもあり、史上初ではありません。これに対し、8冠は紛れもない史上初の偉業でもあり、2頭の優劣をつけるのは困難を極めるでしょう。
また、デアリングタクトにしてもジャパンC(G1)を勝つことがあれば、逆転勝利の可能性が高くなります。牝馬の3冠馬が年度代表馬に選出された事例として、3冠とジャパンCを制した2012年のジェンティルドンナと2018年のアーモンドアイがあります」(競馬記者)
コントレイルが当初の予定通り、ジャパンCに参戦して優勝すれば、当確といえるかもしれない。
だが、陣営が危惧するように、菊花賞の疲れが抜け切らないままであれば、予定を変更して有馬記念(G1)への出走や、最悪の場合は年内休養の可能性も考えられる。
もし、出走したとしてもデアリングタクトとの直接対決が実現し、それに敗れれば、さらに混戦に拍車が掛かるだろう。
3冠馬が年度代表馬に選出されないとなると、これはこれで史上初の記録となるだけに、コントレイル陣営としては直接対決で敗れるリスクを犯すより、有馬記念に出走する選択肢も浮上してきそうだ。