JRA武豊、凱旋門賞(G1)不参戦「裏話」を語る。L.デットーリから「心配メール」クールモアグループ「VIPルーム」で生観戦
今秋、凱旋門賞(G1)に騎乗するためフランスに渡った武豊騎手。レース当日に日本で行われるスプリンターズS(G1)はもちろん、新型コロナウイルス対策の自主隔離によって帰国後も2週間騎乗できないが、それでも「それほどの夢が凱旋門賞には詰まっている」と固い決意を持って海を渡った。
しかし、通算9度目の凱旋門賞挑戦となるはずだった日本のレジェンドジョッキーを待っていたのは、レース不参戦という厳しい現実だった。騎乗予定だったジャパンが所属ずるA.オブライエン厩舎で禁止薬物の使用が発覚したのだ。
武豊はこの時の状況を自身がパーソナリティを務める『武豊TVII』(フジテレビ系)で改めて語っている。
レース4日前の木曜日にフランス入りした武豊が「悲報」を聞いたのは、翌金曜日だった。
オブライエン厩舎で使用している飼料の中から、禁止薬物ジルパテロールが検出されたが、当時は「アイルランドやイギリスでは普通に使っているもの」「摂取しても3日ほどで排出される」ということで、武豊騎手も嫌な予感がしながらも「へえ」という程度だったようだ。
しかし、翌土曜日になってフランスの研究所が出した検査の結果は陽性。その結果、ジャパンだけでなく、出走予定だったオブライエン厩舎の馬すべてが出走取消となった。
この事実はたちまち日本でも大きく報道され、競馬ファンの間にも激震が走った。しかし、当の武豊騎手は残念と思いながらも、意外と落ち着いていたという。
ちょうど夕食時に連絡を受けた武豊騎手は「(お酒を)飲みますか?(笑)」とレース前ということで控えていたお酒を「別に控えなくていいんだ」と飲み始めたというのだ。
「番組内で武豊騎手は『ヤケ酒とかじゃないですよ』と笑っていましたね。これまで何度も海外遠征を行っている武豊騎手からすれば、海外競馬での直前の出走取消は決して珍しいものではないようです。凱旋門賞挑戦がなくなって残念という気持ちはありながらも、『大変だな』とオブライエン厩舎を気遣う余裕があったとか」(競馬記者)
結局、今年の凱旋門賞は観客として見ることになった武豊騎手だがレース当日、競馬場へ向かう際「あれ?オレ、競馬場入れんのかな?」と思い当たったという。
というのも現在、凱旋門賞が行われるパリロンシャン競馬場は無観客での開催を行っており、レースの騎乗馬がない武豊騎手は、いわば観客の1人……。「無観客でしょ」「乗ってないし」と一瞬「どうしたらいいんだろ?」と思ったという。
「その後、武豊騎手はジャパンの共同オーナーであるクールモアグループの計らいで専用のVIPルームからレースを観戦したとか。番組ではその時の写真が公開されましたが、ゴール前の攻防が見渡せる絶好の位置でした」(同)
また、レース当日には凱旋門賞3連覇が懸かったエネイブルの主戦として知られるL.デットーリ騎手が、武豊騎手を気遣い「パリにいるの?」とメールが届いたという。「YES」と返した武豊騎手はその後、ジョッキールームまでデットーリ騎手を激励しに行ったようだ。
帰国後、自主隔離中はやはり毎週土日には競馬を見ていたという武豊騎手。東京、京都、新潟の3場開催だったため観戦するだけでも忙しく、秋華賞(G1)が行われた日に至っては趣味である競輪の寛仁親王牌(G1)も行われ「僕にとっては4場開催(笑)」と大忙しだったそうだ。