JRA秋競馬前半戦を総括! 武豊の凱旋門賞、無敗の三冠馬2頭誕生、芝G1最多勝、地方馬の活躍、新たな白毛馬伝説、馬券売上好調
9月から始まった秋競馬も、10月が終わり2か月間の前半が終了。今週から残り2か月となり、そして7週連続でG1レースが行われる。いよいよ2020年の競馬も佳境に差し掛かっていくが、その前に様々なドラマと記録に彩られたこの2か月の秋競馬を振り返ってみたい。
■3歳クラシック戦線
秋競馬が始まると、秋華賞や菊花賞を目指すトライアルレースが一斉に行われる。秋華賞トライアルの紫苑Sはマルターズディオサ、ローズSはリアアメリアが勝利し秋華賞へ駒を進めた。菊花賞トライアルのセントライト記念はバビット、神戸新聞杯はコントレイルが勝利し、この2頭も菊花賞へ駒を進めた。そして秋華賞はデアリングタクトが史上初となる無敗の牝馬三冠を達成。そして菊花賞はコントレイルが無敗のクラシック三冠を達成と、同年度に無敗の三冠馬が2頭誕生するという偉業が記録されたのである。この2頭はともに次走にジャパンCへの出走を明言しており、最強3歳馬の初対決が注目されている。
■短距離路線
その秋華賞と菊花賞の前には、秋のG1シリーズ第1戦スプリンターズSが行われた。夏のサマーシリーズを歩んできた馬と、春の実績馬が鎬を削った激戦。今年はセントウルSを勝利したダノンスマッシュ、高松宮記念馬のモズスーパーフレア、春の安田記念を勝利したグランアレグリアの3頭が人気を集めた。
レースは1番人気のグランアレグリアが、安田記念以来ということもあり馬体重はプラス12キロとデビュー以来最高を記録。しかもスタートでも出遅れるなど、誰もが敗退を予感したはず。しかし直線を向いて外に持ち出されると、ルメールの手綱さばきも光り、上がり最速の豪脚を披露し直線だけで14頭をごぼう抜き。安田記念に続くG1連勝を決めたのだ。次走はマイルCSを予定しているようだが、そこで勝利すれば安田記念~スプリンターズS~マイルCS三連勝という偉業を達成することになる。
■古馬中距離戦線
菊花賞が終われば天皇賞(秋)という日程だが、今年はアーモンドアイが史上初のJRA芝G1レース8勝を達成するかどうかが大きなポイントだった。前哨戦の毎日王冠を圧勝したサリオスや、サートゥルナーリアなどの実績馬が不在。さらにオールカマーを勝利したセンテリュオはエリザベス女王杯へ、京都大賞典を勝利したグローリーヴェイズも回避したこともあり、アーモンドアイにとって強敵はクロノジェネシスとフィエールマンであった。結果はご存じの通りアーモンドアイが勝利し、ディープインパクトやキタサンブラック、ウオッカなども成し遂げられなかったJRA芝G1レース8勝を達成。次走でジャパンCを選択すれば、コントレイルやデアリングタクトと夢の対決が待っているが、陣営の決断に注目が集まる。
■2歳戦線
秋競馬で行われた2歳重賞は、サウジアラビアRC(G3)とアルテミスS(G3)の2レース。前者を勝利したステラヴェローチェは、ノーザンファームの生産馬でバゴ産駒。後者を勝利したソダシもノーザンファームの生産でクロフネ産駒。ともに栗東の須貝尚介厩舎の管理馬だ。特にソダシは札幌2歳ステークス(G3)に次ぐ重賞連勝で、世代唯一の重賞2勝馬となっている。まだ底を見せておらず、次に出走するであろうG1レースでどんな走りを見せるか楽しみな逸材。仮にJRAのG1レースを勝利すれば、白毛馬では初の快挙にもなる。