JRAの「郷に入っては郷に従え」が招いた悪夢の5分間……M.デムーロ「すごく嫌がりました」大出遅れウェイトゥパリス10着。ジャパンC消滅危機「外国馬ゼロ」から1年、再び浮き彫りとなったゲート問題
29日に東京競馬場で開催されたジャパンC(G1)は、まさに伝説的なレースとなった。
菊花賞馬のキセキが大逃げしたこともあって、出走各馬が死力を尽くしたレース。勝ったアーモンドアイは、自身の記録を更新する芝G1・9勝目を飾って引退の花道を飾った。
最強女王に敗れたものの2着、3着だった三冠馬コントレイル、デアリングタクトも来年が楽しみになるようなレースを見せた。4着カレンブーケドール、5着グローリーヴェイズも「伝説」の1ページに刻まれるに相応しい力走だったと言えるだろう。
そんな華やかな盛り上がりがあった一方、今年のジャパンCで唯一の不完全燃焼に終わってしまったのは、10着に大敗した外国馬ウェイトゥパリス(牡7歳、仏・A.マルチアリス厩舎)ではないだろうか。
新型コロナウイルスが再び勢力を増す中、調教師もオーナーも来日できないという異例の状況の中で、ジャパンC挑戦を決めた……いや、決めてくれたウェイトゥパリス。そこには「欧州の重馬場が合わない。むしろ今年の東京の馬場ぐらいがちょうどいい」という陣営の確かな狙いもあった。
実際に、今秋の東京は初週に雨が降った関係で馬場が悪化。アーモンドアイの勝ち時計2:23.0が、自身が持つ一昨年のレコード2:20.6より2.4秒も遅かったことからも、時計のかかる馬場を得意とする欧州馬にとって、今年のジャパンCは例年以上のチャンスだったはずだ。
しかし、世紀の一戦の幕開けを告げるファンファーレが東京競馬場に鳴り響き、訪れた4500人のファンの拍手が起こってから約5分間……。
ウェイトゥパリスにとっては“悪夢”の時間が訪れた。