JRAの「郷に入っては郷に従え」が招いた悪夢の5分間……M.デムーロ「すごく嫌がりました」大出遅れウェイトゥパリス10着。ジャパンC消滅危機「外国馬ゼロ」から1年、再び浮き彫りとなったゲート問題
昨年のジャパンCには、唯一の外国馬として豪州のプリンスオブアランが出走を予定していたが、ゲート面で不安を抱える陣営がJRAへ「バリアブランケット」(ゲート内で落ち着かせるために使用するクッション)の使用を申請ところ、これが認められずに出走を断念した経緯がある。
この件には、アーモンドアイを管理する国枝栄調教師も『東京スポーツ』の取材を通じて「ゲートボーイ(馬のゲート入りを手助けするスタッフ)を導入すれば、より安全性は増すと思うけど、公営で認められる『尾持ち』でさえ中央は認めないから……」と苦言。
「日本馬にとってゲートは永遠のテーマになるだろう」と問題の根深さを提示している。
「日本競馬はゲート入りもレースの一部として考えられており、公正確保から必要最低限の対応だけに終始しているのが現状です。また、レース中継を行う各局との兼ね合いもあり、とにかく時間通りにレースが行われることを最優先している節があります。
海外では馬優先主義というか、例えば馬がゲートに入りたがらなければ、かなり長い時間待つことも厭いませんが、日本はプログラムの都合もあって、とにかく急かしますよね。今回のウェイトゥパリスも、そんな“事情”の犠牲になった面は否めないでしょう」(別の記者)
昨年、1981年の創設から第39回にして、ついに「外国馬ゼロ」となってしまったジャパンC。今年はウェイトゥパリスの参戦によって、何とか日本最大の国際レースという存在意義を失わずに済んだが、コロナ禍を押しての来日には多くのファンや関係者が感謝しているはずだ。
しかし、そんな“恩人”にさえ満足にレースを迎えさせることができなかった問題は、将来的な外国馬陣営の敬遠、そして「ジャパンC消滅」という危機にまた一歩近づいたと述べても過言ではない。
なお、JRAはジャパンC後に、枠入り不良で発送時刻を5分遅延させたとして、ウェイトゥパリスに20日間の出走停止処分、並びに発走調教再審査を課している。まさに「郷に入っては郷に従え」ということなのだろう。
アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトの三冠馬3頭の共演に沸いたジャパンCだが、その陰で「真の国際化」へ見直されるべき問題は、まだまだ解決されていないようだ。