JRAチャンピオンズC(G1)藤岡佑介「神通力」再び!? 運も実力の内「モーセパワー」で切り開く勝利への道
前走まで3戦連続でC.ルメール騎手が騎乗していたが、今回は藤岡佑介騎手へ乗り替わり。昨年の武蔵野S(G3)以来のコンビ復活となる。
昨年の武蔵野Sといえば、タイムフライヤーがダートで初連対したレース。素質を開花させたのが、藤岡佑騎手であったともいえるだろう。
タイムフライヤーは、サンデーレーシングの所有馬。藤岡佑騎手のチャンピオンズCといえば、ウェスタールンドも同じサンデーレーシングの馬であった。
ウェスタールンドは、2018年のチャンピオンズCに出走。前哨戦の武蔵野Sで7着に敗れ、8番人気とファンの評価は低かった。
レースは15頭立て。ウェスタールンドの藤岡佑騎手は大胆にも最後方の位置取りを選択した。
7枠12番と外目の枠を引いたウェスタールンドは、他馬を先に行かせ最内へ。1頭、ポツンと離れた後方を進んだが、3コーナー辺りから勢いをつけると、4コーナーでインを突いた。
各馬が外へと持ち出す中、後方から唯一のイン選択。最後の直線では1番人気のルヴァンスレーヴが突き抜けた隙間を縫って2着と健闘した。
藤岡佑騎手が「終いに賭ける競馬で内を突こうと思っていました」とレース後に語ったように、まさに狙い通りの結果。運も実力の内――「モーセの海割り」ではないが、藤岡佑騎手の内を開けた「神通力」がウェスタールンドを好走へと導いた。
今年はタイムフライヤーで挑む藤岡佑騎手だが、武蔵野S敗戦からの臨戦過程は偶然にもウェスタールンドと同じだ。
「タイムフライヤーは昨年のチャンピオンズCで、O.マーフィー騎手が騎乗して8着に敗れています。レースではウェスタールンドと同じく内を突く競馬を試みましたが前が壁……。脚を余した感は否めません。
前走の武蔵野Sでタイムフライヤーに騎乗したルメール騎手が『今日は反応が遅かった」とコメントを残していますが、想定外の『-14kg』に加え、放牧明けだったこともあるでしょう。昨年は放牧明けのエルムS(G3)からダートに転戦して、そのままの流れで4戦目にチャンピオンズCでした。今年は放牧明けの武蔵野Sから一叩きされての参戦で、勝負気配は今年の方が高そうです。一度使ったここは変わり身が見込めると思いますよ」(競馬記者)
これまでチャンピオンズCの前身となるジャパンCダート(G1)では、クロフネとベルシャザールを勝利へと導いている松田調教師。来年2月に定年を迎えるが、ここも仕上げに抜かりはない。「プラス体重での出走になると思うし、いい状態で臨める」と万全の仕上げを施したようだ。
昨年は前が開かず不完全燃焼となったタイムフライヤーだが、藤岡佑騎手の「神通力」なら勝利への道は開けるかもしれない。