JRA武豊「ロスがあった」先輩・小牧太をチクリ……「前の馬が外に来て」1番人気ディープモンスター痛恨の敗戦でクラシックへ暗雲
痛恨の2着だった。
12日、阪神競馬場で行われたエリカ賞(1勝クラス)は、4番人気のアドマイヤハダル(牡2歳、栗東・大久保龍志厩舎)が優勝。今月5日に腸捻転のため亡くなったスイープトウショウを近親に持つ素質馬が、クラシックの登竜門で大きな1勝を挙げた。
「良い勝ち方です」
そう語ったのは鞍上の福永祐一騎手だ。この日は2番手から、早め先頭の競馬で押し切る好内容。今年、コントレイルと牡馬三冠を成し遂げた名手が、過去にエイシンフラッシュ、キングカメハメハ、アドマイヤベガ、タヤスツヨシと4頭のダービー馬が勝ち馬に名を連ねる出世レースを制し、来年のクラシックの有力候補に名乗りを上げた。
一方、痛恨の敗戦となったのが、単勝2.2倍の1番人気に推されながら2着に敗れたディープモンスター(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)と武豊騎手だ。
「惜しい競馬でした……」
8頭立てで行われた芝2000mのレースは、武豊騎手が「道中は行きっぷりが良くなかった」と話した通り、スタート直後から口向きが悪く後方からの競馬。少頭数ということもあって前半の1000m通過が64秒の超スローペースと、後方の馬には厳しい展開となった。
そんな流れを読んだ武豊騎手は、ディープモンスターと外から早めの進出。4コーナーでは先頭集団の直後までポジションを上げ、そこから上がり最速の末脚を繰り出したが、2番手からスムーズな競馬をしたアドマイヤハダルに半馬身及ばなかった。
「ディープモンスターにとっては、もったいないレースでしたね。レース後に武豊騎手が『4コーナーから直線にかけて前の馬が外に来て、ロスがありました』と話していた通り、勝負所で前にいたニホンピロマリブが外に逃げて寄られる不利がありました。
鞍上の小牧太騎手も左ムチを入れて内に入れようとしていたんですが、馬の方が若さを見せてしまいましたね。大きな不利ではありませんでしたが、最後の脚色を見る限り、スムーズならもっと際どい勝負に持ち込めていたと思います」(競馬記者)
1勝クラスで敗れたことで、来年のクラシックへの道が遠ざかったディープモンスターだが、この「エリカ賞」で敗れるということは、それ以上の意味があるのかもしれない。
というのも、勝ち馬こそ先述したダービー馬4頭に加えヴィルシーナ(ヴィクトリアマイル連覇)、アドマイヤグルーヴ(エリザベス女王杯連覇)、クロフネ(NHKマイルC、ジャパンCダート)といったG1馬がずらりと並ぶが、その一方で2着に敗れながらG1を制したのは、1992年のマーベラスクラウン(ジャパンC)まで遡らなければならない。
不利を受けてのわずか半馬身差と、勝ったアドマイヤハダルと2着ディープモンスターの実力差は、ほぼ互角のように思える。だが「歴史」の上では、天と地ほどの差があると述べても過言ではないだろう。
「良い馬なんですよ、ホントに。馬体も綺麗だし、能力はかなり高いと思います」
先日の『武豊TVII』(フジテレビ系)で、そうディープモンスターを褒めちぎっていた武豊騎手。今回は手痛い敗戦を喫してしまったが、お気に入りの良血馬をクラシックへ導けるか。大物コンビの巻き返しに注目したい。