JRA川田将雅「G1勝てない」ジンクスに終止符! 7番人気グレナディアガーズで朝日杯FS(G1)勝利…… 屈辱の「20連敗」阻止に破顔一笑
20日、阪神競馬場では2歳マイルチャンプを決める朝日杯FS(G1)が開催され、川田将雅騎手の7番人気グレナディアガーズ(牡2、栗東・中内田充正厩舎)が優勝。2着に2番人気ステラヴェローチェが入り、1番人気に支持されたレッドベルオーブは3着と敗れた。
7番人気の伏兵によるアッと驚く快勝だった。
前走で3馬身差の楽勝を決めていたとはいえ、グレナディアガーズは未勝利を勝ち上がったばかり。すでに重賞勝ちのあるライバル相手に実績が見劣ったのも無理はない。
波乱の立役者になったとはいえ、川田騎手は「新馬戦の前から素質を感じていましたので、こうして結果を得ることができて何よりうれしく思います」とレース後に振り返った。「性格が難しい馬ですが、今日はとてもリズム良く、我慢して走ってくれました」と続けたように、これまで3戦すべての手綱を取った集大成が好結果を導いたのだろう。
あまりにもうまくいったのか、いつもクールな騎手にしては珍しくゴール後に笑みが溢れていた。
勝利の決め手となったのはやはり積極的なレース運びだ。「後ろを待つより、捕まえにいきすぎず、捕まえにいくことを選択しました」と振り返ったように、絶妙なポジション取りが功を奏したといえるだろう。後方から鋭い末脚を繰り出しながらも捉え切れなかった2、3着馬と明暗を分かつ結果となった。
フルゲート16頭立てのレースは、C.ルメール騎手の奇襲から始まった。マイル経験のなかったモントライゼが作り出した急流は前半3ハロン33秒7。2番手を追走するブルースピリットとの差は7馬身8馬身と開いていた。
だが、この日の阪神は同じく芝1600m戦である9Rサンタクロースハンデ(3勝クラス)で1分32秒6の快時計が出ていたように、レコードが出てもおかしくない絶好の馬場状態。早めに仕掛けても前の馬が止まりにくい条件だったといえるだろう。
「多くの騎手がハイペースと見て控える作戦を取ったことも大きかったです。このため、人気馬が互いにマークし合ったこともあり、動き出しがワンテンポ、ツーテンポと後手に回ることになりました。
これに対し、川田騎手はむしろポジションを徐々に上げていき、絶対に前残りだけはさせまいとする強い意志を感じられる騎乗でしたね。7番人気という気楽さも強気に乗れた理由だったのかもしれません」(競馬記者)
振り返ればこの勝利まで川田騎手はG1レースで19連敗という屈辱を味わっていた。
最後のJRA・G1勝ちはクリソベリルで制した昨年のチャンピオンズC(G1)まで遡らなければならない。今年もここまで連敗が続いており、リーディング2位のトップ騎手としては不名誉なG1年間未勝利の足音すら、徐々に大きくなり始めていた。
競馬ファンの大多数が勝利を信じた今年のチャンピオンズCでは、単勝1.4倍という圧倒的1番人気に支持されたクリソベリルで4着に敗れた川田騎手。これとは対照的に人気のなかった朝日杯FSで待望のG1初勝利を手にしたのは、無欲ゆえの好騎乗だったのかもしれない。