ホープフルS(G1)ダノンザキッドはコントレイルに遠く及ばない!? 川田将雅は一難去ってまた一難…… 今年G1初勝利もクリアすべきもう一つのジンクス
27日、中山競馬場では有馬記念(G1)が開催される。ジャパンC(G1)でデッドヒートを演じたアーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトといった三冠馬3頭の姿がないのは残念だが、そこは暮れの大一番だ。
秋の天皇賞(G1)で絶対女王アーモンドアイに迫ったフィエールマン、クロノジェネシスをはじめ、これが引退レースとなるラッキーライラック、昨年の3着馬ワールドプレミアなどが顔を揃えた。
しかし、その前日の土曜中山で行われるホープフルS(G1)も、来春のクラシックを占う重要なレースといえる。
下馬評で1番人気が濃厚と見られているのは、川田将雅騎手とのコンビで参戦を予定しているダノンザキッド。先週の朝日杯(G1)を7番人気の伏兵グレナディアガーズで制し、昨年のチャンピオンズC(G1)以来のG1勝利を挙げた勢いもある。
朝日杯を勝利したことにより、JRA・G1年間未勝利という不名誉な記録を免れた川田騎手。だが、2週連続G1勝ちを目論む川田騎手にとって気掛かりなことがあるとすれば、ダノンザキッドのオーナーであるダノックスとの関係だろう。
ダノックスといえばダノンプレミアム、ダノンキングリー、ダノンスマッシュなどG1戦線を賑わせてきた馬を所有しているが、前哨戦の重賞を好走しながらも本番のG1では好結果を出すことができていない。
そんな善戦マン止まりだったダノックスも、香港スプリント(G1)のダノンスマッシュで芝G1タイトルを手にすることに成功した。
あと一歩のところで戴冠を逃していたダノックスにとって喜ばしい限りながら、ダノンスマッシュはR.ムーア騎手での勝利であり、ダノックスの主戦騎手といっても過言ではない川田騎手とのコンビではない。
川田騎手、ダノックスいずれも悲願のG1勝利を手にしての参戦は、ホープフルSのダノンザキッドが今年初となるだけに、これまでの汚名を返上するにはまたとないチャンスとなるに違いない。
その一方でダノンザキッドの東京スポーツ杯2歳S(G3)のレベルについて懸念があることも事実である。直線の好位から上がり最速となる33秒5の末脚で楽に抜け出した勝ちっぷりは見事だったが、勝ち時計は1分47秒5と平凡なのだ。
開催こそ異なるとはいえ、同じ11月に良馬場の東京で行われた3勝クラスのノベンバーSが1分46秒7、ユートピアSが1分46秒6だったことを考えると物足りない。
昨年の東京スポーツ杯をレコード勝ちしたコントレイルが、3勝クラスどころかダノンキングリーが優勝したG2の毎日王冠と0秒1差だったことと比較をするとその差は歴然である。
ちなみに今年の毎日王冠は3歳馬サリオスが制し、稍重で勝ち時計は1分45秒5。単純比較で2秒遅いうえに稍重と良の差を考慮すると、ダノンザキッドはさらに見劣る時計となる。
さすがに、無敗の三冠馬コントレイルと比べるのは酷な話だ。とはいえ、毎日王冠はともかくせめて3勝クラスくらいは超えておかないと、G1を勝ち切るには心許ないというのもあながち間違いではないのかもしれない。