チャンピオンズカップの記憶~最高に輝いた2011年、藤田伸二騎手最後の相棒トランセンド~
昨年突如引退を表明した藤田伸二元騎手。かつて最優秀新人騎手賞を受賞し、日本ダービーなど重賞100勝以上という実績を持つトップジョッキーが最後にG1レースを制した相棒が、ジャパンカップダート(現チャンピオンズカップ)を唯一二連覇したトランセンドだった。
トランセンドのデビュー戦は芝の1800m。そこで2着に好走するも初勝利は2戦目のダート戦だった。昇級初戦は2着に1.2秒差を付けて圧勝。続く日本ダービーを目指して出走した京都新聞杯(G2)で9着に敗退すると、「ダートの方が合っている」という安藤勝己騎手の見解もありダート路線に変更。そして古馬との対決となった麒麟山特別(1000万下)をレコードタイムで圧勝し、新設重賞のレパードステークスも自身の持つレコードと同タイムで完勝、あらためて素質の高さを見せつけた。
しかしその後古馬と重賞で対決したエルムステークス(G3)4着、武蔵野ステークス(G3)6着と敗退し休養。翌4歳2月に復帰してアルデバランステークスをレコードタイムで快勝。5月の東海ステークス(G2)で藤田伸二騎手と初めてコンビを結成して2着に好走すると、11月のみやこステークス(G3)で重賞2勝目を達成。そしてG1レース初挑戦となった第11回ジャパンカップダート(G1)で1番人気に応えて優勝した。ただしこのレースはこの年のJRA賞最優秀ダートホースに選ばれているエスポワールシチー、JBCクラシック(Jpn1)を圧勝していたスマートファルコンが回避したこともあり、主役不在の中での勝利とその実力を疑う声も少なくなかった。
しかし翌年のトランセンドは現役最強ダート馬と呼ばれるに相応しい快進撃を見せる。まず年明け初戦となったフェブラリーステークス(G1)を快勝。ここでもエスポワールシチーとスマートファルコンは不在だったものの、前年のG1勝利が決してフロックではないことを証明して見せた。