JRA有馬記念(G1)過去30年で克服したのは「364日ぶりの復活劇」を演じたアノ名馬だけ。 フィエールマンに襲い掛かる大ピンチとは……
27日、中山競馬場で行われる有馬記念(G1)にフィエールマン(牡5歳、美浦・手塚貴久厩舎)が出走を予定している。クロノジェネシスとの“2強”が濃厚とみられるが、稀代のステイヤーはG1・4勝目を挙げられるだろうか。
前走の天皇賞・秋(G1)では、2000mという距離が嫌われ、5番人気に甘んじたフィエールマン。しかし、後方から東京の長い直線を豪快に伸びて、アーモンドアイに半馬身差の2着に追い込み、ただのステイヤーでないところを見せつけた。
前走から500m延びる今回はさらにパフォーマンスを上げる可能性は高いだろう。ただし、懸念材料ももちろんある。
「フィエールマンは昨年の凱旋門賞(G1)で惨敗(12頭立て12着)しましたが、国内では安定感抜群です。馬券圏外に沈んだのは、昨年の有馬記念の4着だけ。ここでも大崩れする可能性はかなり低いでしょう。
ただ、体質的に連戦が効かないタイプです。前走の天皇賞・秋から中7週というのは、この馬にとってかなり詰まった間隔なので、そこは心配ですね」(競馬誌ライター)
今年に入ってから春秋の天皇賞にしか出走していないフィエールマン。2連覇を達成した天皇賞・春の後は、宝塚記念(G1)を目指して調整されていたが、疲労が抜けきれず回避。秋初戦を予定していたオールカマー(G2)も直前の熱発で天皇賞・秋への直行を余儀なくされるなど、今年に入って2度もローテーションに狂いが生じた。
アーモンドアイに迫った前走から“見えない疲れ”が残っていてもおかしくないだろう。そして、気になるのが、その前走の馬体重が、前々走の天皇賞・春から12kgも減っていたという点だ。
過去30年(1990年以降)の有馬記念において、直前のレースを「-10kg以上」という大幅馬体重減で走っていた馬はのべ26頭いた。その成績はというと、「1-1-0-24」で、連対馬は2頭だけ。
唯一、勝利を挙げたのが、今から27年前(1993年)のグランプリを制したトウカイテイオーだった。前年(1992年)の有馬記念に体調が万全でないなか出走したトウカイテイオー。1番人気に支持されたが、出遅れて11着に大敗を喫していた。この時の馬体重が前走のジャパンC(G1)から「-10kg」だった。
1年後にターフに戻ってきたトウカイテイオーは、馬体重を14kg増やし、ふっくらとした馬体は見栄えも良かった。しかし、1年ぶりの実戦には、ファンも半信半疑。単勝4番人気に対し、複勝は8番人気だったことがそれを物語っている。