「組織力にやられた」武豊が潰された有馬記念。安藤勝己氏も指摘した「影の主役」と、日本競馬に馴染みのない文化に賛否両論
自身のTwitterで「見応えある有馬記念やった」とレースを称賛する一方で「サトノダイヤモンドは人馬どころかチーム一体。馬の状態、ルメールの仕掛け、同厩で同馬主のサトノノブレスのアシストまで完璧」と明確に”アシスト”があったことを指摘している。
競輪などでは戦術の基本線となり、予想するファンもそれを踏まえているのが常識だが、こと日本競馬においてはあまり馴染みがない「アシスト行為」。
したがってサトノダイヤモンドの勝ち方には、多くの競馬ファンが疑問を呈しており、ネット上でも賛否両論が渦巻いていた。ただ一方で、明確なアシスト行為でなくとも、競馬に”そういった面”が確実に存在していることは多くのファンが認めている。
ただ、レース中にサトノノブレスの鞍上だったシュミノー騎手はサトノダイヤモンドを意識する仕草を随所に見せており、無謀なスパートを開始する直前にもサトノダイヤモンドを振り返って邪魔をしないように細心の注意を払っているように見えた。
さらにレース後、勝ったルメール騎手とがっちりと握手。同じサトノの馬の騎手として、という見方もできるが、やはりそこには”連携プレー”で結果を残した充実感のようなものが満ちていたのかもしれない。
競馬で「連携プレー」といわれて、すぐに浮かぶのがフランスの凱旋門賞(G1)だ。
日本からはマカヒキが挑戦した同2016年の凱旋門賞。結果的にマカヒキが大敗する一方で、優勝したファウンド、2着ハイランドリール、3着オーダーオブセントジョージは、すべてオブライエン調教師の管理馬だった。
この上位独占は明らかな連携プレーによる結果がもたらしたものだが、レース後、世界中のファンやメディアからは非難どころか、むしろ完璧なコンビプレーの技術の高さに称賛が集まった。
つまり、同じ競馬でも日本と世界では文化が異なるのだ。
シュミノー騎手はその凱旋門賞が開催されるフランスから短期免許で初の来日を果たした騎手であった。もしかしたら、明確なアシスト行為が日本競馬に浸透していないことを深く認識していなかったのかもしれない。
だが、「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるように、来日する世界の騎手たちにもしっかりと日本競馬のルールを意識させることが必要なのは間違いないだろう。