内田博幸「さすが岡部さん」有馬記念(G1)1枠1番に大満足も拭いきれぬ不安「この馬のリズムで……」は自分への戒めか
デビューからの2戦はともに2着と敗れたバビットであったが、年が明けた3歳初戦から破竹の4連勝。これまで勝利したレースは全て逃げてのもので、今回も逃げが予想される一頭だ。
24日行われた有馬記念の枠順抽選会で1枠1番に決まり、これには内田博幸騎手も抽選を行った岡部幸雄元騎手に対して「いやー、さすが岡部さん」と満足げに声を弾ませた。
逃げ馬にとっては絶好の枠といえる1番枠。有馬記念自体、内枠有利が定説であるから、当然だといえるだろう。
前走の菊花賞(G1)では10着と惨敗したバビットだが、『サンケイスポーツ』の取材によると、陣営は「調教をやり過ぎました。今回は4連勝したときの、いつも通りの調整で挑みます」と調教パターンを変えたことが敗因と分析。これまでのパターンに戻して巻き返しを狙っている。
今回、出走馬中で唯一の菊花賞からの参戦となるが、過去のデータからも巻き返しは十分に期待できる。
■過去10年の前走菊花賞出走馬 有馬記念成績(着順、勝率、連対率、複勝率)
4- 1- 2- 3/10 40.0% 50.0% 70.0%
過去10年で菊花賞から有馬記念に直行した馬は複勝率7割で、16着に敗れていたトゥザワールドも有馬記念では2着と巻き返しに成功しているのだから相性は抜群といえるだろう。
しかも、菊花賞からの参戦では、過去に同じく内田騎手が騎乗したゴールドシップもいる。有馬記念では通常不利とされる外の7枠13番からの発走。行き脚がつかず後方の位置取りとなったが、3コーナーから外を捲り上げると、直線では驚異の持続力で外から差し切っている。
しかし、鞍上の内田騎手には、過去の有馬記念で苦い思い出もある。バビットを連想させるのは2014年、同じ1枠から逃げたヴィルシーナだ。
レースは16頭立て。スタートから豪快なアクションでハナを主張したのがヴィルシーナ騎乗の内田騎手だった。しっかりと折り合いをつけつつも、3番手以降を離しての逃げ。しかし、4コーナーでは早くも手応えがなくなり、後続につかまると、そのまま馬群に飲み込まれ14着に敗れた。
今年の有馬記念は、2014年と似た状況でもあり雪辱を果たすチャンスだ。「スタートのいい馬で、コースロスなく行けるのは有利。この馬のリズムでいきたいと思っています」と語った内田騎手。「この馬のリズムで」というのは、ヴィルシーナをスタートから出していった戒めの言葉なのだろうか……。
今回は、前走のジャパンC(G1)で大逃げを打つ形となったキセキとの兼ね合いがカギとなりそうだが、マイペースの逃げが叶えば大仕事をやってのけるかもしれない。