【徹底考察】阪神JF(G1)ソウルスターリング「両親のタイトル獲得数16!『バケモノの子』の世界初G1制覇に必要なのは距離克服と『母父の血』!?」
デビュー以来負けなしの14戦全勝。「世界史上最強馬」とも言われたフランケルを父に持つソウルスターリングが、今週末の阪神JFで初G1の舞台を踏む。初年度産駒が走り始めた今年度から、海外でもすでに多くの産駒が重賞で結果を出しているほか、同じく2歳牝馬のミスエルテがファンタジーSを脅威の末脚で完勝しており、日本・世界を問わず”走る”種牡馬であることはすでに証明済みだ。
現時点でフランケル産駒の最高成績は、イギリスのQUEEN KINDLY(母父Rahy)という馬が制したG2 Sky Bet Lowther Stakes(芝1200m・ヨーク競馬場)が最上位で、まだG1優勝歴はない。つまり、ソウルスターリングが阪神JFを優勝すれば、”世界初のG1制覇”となるわけだ。ある意味壮大な快挙が達成されるかどうか、今回はその可否を探っていきたい。まずは前走の内容を見ていこう。
【前走分析】
10/22 アイビーS(2歳OP・東京芝1800m)1着
この日は好スタートから好位の3、4番手を確保。序盤は多少行きたがる面をチラつかせ、ルメール騎手が手綱を抑える場面はあったものの、折り合いは問題ないといえる範囲だった。前半1000mのタイムは1分1秒9とゆったりした流れ。直線の真ん中あたりまで持ったままの手応えで前を射程に入れると、ムチが入ったのにあわせてグンと加速し、一気に先頭に立ってそのままゴールイン。まったく危なげのない完勝で、デビューからの2連勝を飾った。
スタートからゴールまでの立ち回りを見る限り、今のところ課題らしい課題は見えてこない。3着に負かしたエトルディーニュは次のベゴニア賞でも2着に好走しており、レベルが極端に低かったという2歳戦に特有懸念も少ないだろう。道中のやり過ごし方、スパート時の反応の良さ、大きなストライドから弾けるように伸びるダイナミックな走法など、どれをとってもケチはつかない。
ちなみに、デビュー戦では右回りの札幌1800mを完勝。この時のレースぶりもほとんど問題はなかった。つまり、これまでの臨戦過程からは非の打ち所がないという結論になる。
【血統診断】
冒頭でも述べたように、父は無敗の最強馬フランケル。3代父サドラーズウェルズ、2代父ガリレオも日本人にとっては馴染みある血統だが、大きな違いとして考えられるのは上の2頭が現役時代、主に2000m以上で成績を残してきたのに対し、フランケルは1400m~マイルを主戦場としてきたことだろう。つまり、これは仮説になるが、中距離以下のレースに求められるスピード能力が、欧州と比べて軽い日本の芝への対応力へと繋がった可能性はある。