【徹底考察】阪神JF(G1)ソウルスターリング「両親のタイトル獲得数16!『バケモノの子』の世界初G1制覇に必要なのは距離克服と『母父の血』!?」
サドラー系でいえばオペラハウスがテイエムオペラオー、メイショウサムソンといった大物を輩出したものの、その後の血の広がりという点で物足りない。この系統の日本での種牡馬成績が芳しくなかった原因のひとつは、欧州血統らしい底力やパワーに能力が偏りすぎていたせいだろう。その点、フランケルの母父はデインヒル。日本では母父として天皇賞・春連覇のフェノーメノを出しているが、その他にもエイジアンウインズやフィエロといったマイル以下で力を発揮するスピード能力を示しており、このあたりが日本の芝とマッチする要因のひとつではないだろうか。
かつて「ドルメロの魔術師」と呼ばれ、リボーやネアルコといった歴史的名馬を輩出したイタリアの馬産家フェデリコ・テシオは「一流馬の血統には、その近い祖先にかならず一流のスピード馬がいる」と言ったとされている。フランケルにもデインヒルからダンジグへ遡る一流のスピード馬の血が流れており、そういった意味では日本の芝へ対応力を見せたことにも納得がいく。
ちなみに、ソウルスターリングの母は仏オークスや凱旋門賞の前哨戦・ヴェルメイユ賞をはじめ、フランス・アメリカでG1タイトル6つを獲得したスタセリタ。父がドイツ由来のMonsunという点はおもしろいところだ。
【結論】
今回の阪神JFは、フランケル産駒の日本G1初挑戦であり、ひとつの試金石になることは間違いない。現状、ミスエルテが1400mのファンタジーSで好走しており、ソウルスターリングにしても初のマイル短縮がまったくダメと断定する必要はないだろう。ただ、ミスエルテの母ミスエーニョはアメリカのダート1400mG1・デルマーデビュタントSの勝ち馬であり、短距離適性という点では母系の色が出ている可能性も否定できず、「ミスエルテが走ったからソウルスターリングもOK」と決めつけることももちろんできない。