種牡馬バゴに再評価の契機となるか!? クロノジェネシス有馬記念(G1)優勝で…… クラシックで注目はダノンザキッドよりあの馬か
27日、中山競馬場で行われた有馬記念(G1)をクロノジェネシス(牝4、栗東・斉藤崇厩舎)が制し、春秋グランプリ制覇の偉業を達成した。昨年のリスグラシューは5歳で引退レースだったのに対し、クロノジェネシスは4歳。9冠馬アーモンドアイはターフを去り、来年は競馬界の主役を担う存在へと期待がかかる。
クロノジェネシスの父バゴは、凱旋門賞やパリ大賞典などのG1を5勝した名馬。しかし、力のいる馬場に向いている欧州血統ということもあり、軽くて速い日本の馬場に適応できるかは未知数な部分も多かった。
だが、引退後に日本で種牡馬入りしたバゴは、初年度産駒からいきなりビッグウィークが菊花賞(G1)を優勝し、オウケンサクラもフラワーC(G3)優勝と意外な好結果を残した。そのため、翌年以降も産駒の活躍に期待が集まったものの、これといった大物の誕生はなかった。ディープインパクトやキングカメハメハの産駒が全盛にある中で、どちらかというと地味な種牡馬だったといえるだろう。
以下はバゴ産駒の重賞勝ちである。
■日付、レース名、距離、馬場状態、馬名
10年 フラワーC(G3)、芝1800(良)、オウケンサクラ
10年 菊花賞(G1)、芝3000(良)、ビッグウィーク
13年 函館2歳S(G3)、芝1200(良)、クリスマス
15年 ファルコンS(G3)、芝1400(稍)、タガノアザガル
17年 京成杯(G3)、芝2000(良)、コマノインパルス
19年 クイーンC(G3)、芝1600(良)、クロノジェネシス
19年 秋華賞(G1)、芝2000(稍)、クロノジェネシス
20年 京都記念(G2)、芝2200(重)、クロノジェネシス
20年 宝塚記念(G1)、芝2200(稍)、クロノジェネシス
20年 サウジRC(G3)、芝1600(不)、ステラヴェローチェ
20年 有馬記念(G1)、芝2500(良)、クロノジェネシス
芝1200mのスプリント戦から芝3000mの長距離戦まで勝利があるように、距離適性も幅広い。また、良でも不良でも問題なくこなすのは欧州生産馬である父の影響も考えられる。
転機となったのは、やはりクロノジェネシスの登場だ。デビュー2戦目のアイビーS(OP)を上がり3ハロン32秒5の鬼脚で切り裂くと、G1の阪神JFでも2着に入った。クラシックでは戴冠出来なかったとはいえ、馬体を20キロ増とパワーアップした秋華賞(G1)で待望のG1初勝利。エリザベス女王杯(G1)は5着と敗れたが、今年に入って地力強化は著しい。
特に顕著な成長を感じられたのが、宝塚記念(G1)での5馬身差圧勝からである。そこれまでは牝馬としては、強い馬だった印象から「牝馬」の条件を除いても強い馬へと変わっていく。
有馬記念でも秋の天皇賞で先着を許したフィエールマンにリベンジを成功させ、名実ともに頂点も視野に入って来た。
「クロノジェネシスだけでなく、2歳のステラヴェローチェも奥の深そうな競馬を見せました。朝日杯FSでも先行馬に有利な展開ながら、後方から鋭い末脚で2着に食い込んだように力負けではなさそうなレースでした。
この馬は、稍重と不良しか走っていなかったこともあり、良馬場での走りに注目が集まりましたが、何の問題もなかったことを証明しました。2歳G1で2着はクロノジェネシスと同じ。来年のクラシックでも期待できそうです」(競馬記者)
バゴは19歳と残された種牡馬生活は長くないかもしれないが、孝行娘の大活躍が再ブレイクの契機となれば、まだまだ大物が出て来る可能性もありそうだ。