JRA「約1000億円」売り上げアップも、有馬記念、ホープフルSは売り上げ「減少」。消えた「54億円」の行方は……
27日で中央競馬の開催は全日程を終了した。
今年は新型コロナウイルスの影響で、2月末から半年以上に渡って無観客競馬が行われた。競馬場、ウインズの閉鎖によって馬券売り上げは減少。厳しいスタートとなったが、JRAにとって“怪我の功名”となったのがインターネット投票の普及である。
投票方法が電話投票とインターネット投票に限定されたことにより、「即PAT」の加入者が急増。これにより馬券売り上げが回復し、夏には前年を超える売り上げを更新することも珍しくなくなった。
その結果、JRAの年間売り上げは2兆9834億5587万2000円で前年比103.5%(約1000億円増)を記録。9年連続の売り上げアップを達成した。
しかし、暮れの大一番・有馬記念は464億2589万4400円で前年比99%の微減という結果に終わった。これには同じ週末に中山大障害(G1)、ホープフルS(G1)、阪神C(G2)と3つの重賞が行われたことも影響しているだろう。
●12月26日、27日の重賞売り上げ
中山大障害 20億5878万4100円(前年比127%)
ホープフルS 80億3759万8800円(前年比56%)
阪神C 55億6949万1700円(前年比117%)
有馬記念 464億2589万4400円(前年比99%)
合計 620億9176万9000円(前年比92%)
ホープフルSが約60億円の大幅減となったのは、開催日の変更によるものと考えられる。昨年は開催最終日に単独重賞として行われたが、今年は翌日に有馬記念を控えているということで購買意欲が減少したのだろう。実際に、単独重賞として開催された一昨年も120億円を超える売り上げを記録している。
その一方、好調だったのが阪神C。8億円も売り上げを伸ばした要因は、インディチャンプという大本命が出走したことではないだろうか。
ただ、4重賞の合計売り上げは約54億円も減少している。これはJRAにとって死活問題ではないだろうか。
この“消えた54億円”の行方として予想されるのが、29日に大井競馬場で行われる東京大賞典(G1)だ。
2015年以降、毎年売り上げ記録を伸ばし続けている東京大賞典。昨年は56億627万5800円で、地方競馬1レースの売り上げレコードを更新した。
現在、大井競馬場は新型コロナウイルスの影響により、入場者数を限定して行われている。昨年は4万7614人もの観客動員を記録していることを考えれば、売り上げ減少は免れないと思われるかもしれない。
だが、JRAの普及させたインターネット投票システムで東京大賞典の馬券購入が可能となるため、むしろ昨年よりも売り上げアップとなる可能性が高いと言えるだろう。それに加えて、ホープフルSと有馬記念の売り上げが減少。偶然にも、JRAが東京大賞典の売り上げアップに貢献する構図が出来上がっているのだ。
さらに、オメガパフュームという絶対的な馬が出走するのは、阪神Cと同じく売り上げアップに繋がりそうである。
今年の東京大賞典はいくらの売り上げ記録を叩き出すだろうか。レースだけでなく、馬券売り上げにも注目が集まる。