JRAシンザン記念(G3)ククナ次第で新たな“格言”誕生!? 前走“不利連発”で負けて強しも、「2着」が濃厚の可能性が……
10日、中京競馬場ではクラシックへの登竜門、シンザン記念(G3)が開催される。注目は過去10年で「3-2-1-13」と好成績を残している牝馬勢だ。
過去10年で3着以内に入った牝馬は6頭。そのうち4頭(マルセリーナ、ジェンティルドンナ、ジュエラー、アーモンドアイ)が後にG1を勝っており、牝馬にとっては出世レースとなっている。
今年は5頭の牝馬がエントリーしているが、注目すべきは良血ククナ(牝3歳、美浦・栗田徹厩舎)だろう。
デビューは昨夏の札幌。新馬戦こそ取りこぼしたが、続く未勝利戦で勝ち上がると、3戦目にアルテミスS(G3)に出走。ここでは、ソダシから0秒3差の2着に敗れたが、道中幾つもの不利があり、着差以上に強い内容だった。
その前走を振り返ると、3枠6番からスタートは五分だったククナ。しかし、初めて経験する多頭数競馬(16頭立て)もあってか、ごちゃついた馬群のど真ん中で左右前後からプレッシャーを受け、徐々に位置を下げてしまう。これには鞍上のC.ルメール騎手もレース後に「向正面でトラブルがあって、位置が下がりました」と認めざるを得なかった。
後方に下がったククナは、3~4コーナーでようやく自身のスペースを確保。ところが、直線に入ると、今度は前が全く開かない。鞍上が外に進路を求めて、ようやく前にスペースができたのは残り300m地点。そこで鞍上がゴーサインを送ると、ククナは鋭く伸びて2着に食い込んだ。
先行してそつなくレースをこなしたソダシとは対照的に不運が重なったククナ。最後の伸び脚は、際立っていただけにもったいない競馬だったのは間違いない。
「まともに走っていれば、ソダシとは接戦に持ち込めていたと思います。前残りの展開で、あれだけ不利を受けながらの2着はまさに『負けて強し』と言えるでしょう。
今回(シンザン記念)は牡馬が相手ですが、力は上位。おそらく1番人気に支持されると思いますが、血統的には不安な面もあります」(競馬誌ライター)
ククナの血統に不安があるとはどういうことか……。
父がキングカメハメハ、そして母の父はディープインパクトという2010年代の日本競馬を代表する種牡馬2頭の血を持つククナ。この組み合わせはこれまで36頭がJRAでデビューし、うち17頭が勝ち上がっている。また、重賞レースにも7頭がのべ19度挑戦しているが、非常に偏った数字が残っているという。
「この血統(父キングカメハメハ×母父ディープインパクト)は、いかにも大物が出そうな組み合わせですが、実は重賞成績は『1-7-0-11』と勝負弱い面があります。
唯一の重賞制覇は、昨年9月にブラヴァスが勝った新潟記念(G3)だけ。一方、2着は7回にも上ります。ククナ自身も前走のアルテミスSで惜敗しましたが、“血の宿命”だったのかもしれませんね」(同)
もし、ククナがシンザン記念で再び2着に敗れるようなら、「『キングカメハメハ×ディープインパクト』は重賞では勝ち切れない」という新たな格言が生まれるかもしれない。どちらにしても、今度こそその実力を出し切る走りをしてもらいたい。