JRA種牡馬フィエールマン「二軍スタート」の冷遇に疑問の声……実績はコントレイルに次ぐNo.2も問われる「3000m級」G1の価値
6日、昨年の天皇賞・春(G1)を勝ったフィエールマン(牡6歳、美浦・手塚貴久厩舎)が、右前脚球節の繋靭帯炎のため引退。種牡馬入りすることがわかった。本馬が所属するサンデーレーシングの公式ホームページで発表されている。
キャリアわずか4戦で菊花賞(G1)を制し、古馬になってからも天皇賞・春を連覇。12戦5勝ながら、国内で4着以下に敗れたのは一昨年の有馬記念(G1)のみ。それもアーモンドアイら好位組が総崩れとなる中、唯一の粘り腰を見せての4着と非常に強い内容だった。
この日、JRAは2020年度のJRA賞を発表。最優秀4歳以上牡馬に選出されたフィエールマンだが、同日に引退発表となっただけに輪をかけて惜しまれる状況だ。
ただその一方、フィエールマンが北海道日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入りしたことには、多くのファンが疑問を呈している。
ノーザンファームで生まれ、一口馬主クラブのサンデーレーシングに所属したフィエールマンは、生粋の社台系だ。順当に行けば、日本最高峰の種牡馬たちが繋養されている社台スタリオンステーション入りが妥当なところだろう。
ちなみに昨年のリーディングサイヤーの1~9位は、すべて社台スタリオンの繋養馬。10位になって、やっとヘニーヒューズ(優駿スタリオンステーション)が登場するが、獲得賞金は1位ディープインパクトの1/5にも満たない。将来を嘱望されるエリート種牡馬は、すべて社台スタリオンのお抱えといっても過言ではないだろう。
それに比べて、フィエールマンが向かうことになったブリーダーズ・スタリオンは、言葉を選ばなければ、社台スタリオンの「二軍」といった扱いだ。
実際に、現在繋養されているジャスタウェイ、ディープブリランテなどは元社台スタリオンの繋養馬。激しい種牡馬争いに敗れて“都落ち”した馬ということになる。
また、昨年他界したディープインパクトは歴史的な名牝を何頭も輩出した一方、牡馬の後継者には恵まれておらず、産駒のフィエールマンのG1・3勝は昨年の三冠馬コントレイル(4勝)に次ぐNo.2の実績だ。
その上で一体なぜ、フィエールマンの繋養先はブリーダーズ・スタリオンが選ばれたのだろうか。