JRA種牡馬フィエールマン「二軍スタート」の冷遇に疑問の声……実績はコントレイルに次ぐNo.2も問われる「3000m級」G1の価値
「スピードが重要視される現在の競馬界で、フィエールマンはG1・3勝といっても菊花賞に天皇賞・春連覇と、すべて3000m超えの長距離戦。昨年の天皇賞・秋(G1)でアーモンドアイに迫ったように『本質は中距離馬』という声もありましたが、記録として残るのは、やはり種牡馬として評価されにくいステイヤータイプということになります。実際に、近年では天皇賞・春を勝ちながら種牡馬入りできなかった馬も少なくないですからね。
またフィエールマンは昨年もわずか3走と、現役時代から体質の弱さが課題となっていました。その辺りが、社台スタリオン入りが嫌われた理由ではないでしょうか」(競馬記者)
現にフィエールマンの引退が発表された際、サンデーレーシングの吉田俊介代表は「凱旋門賞遠征や、長距離にこだわらなければ、もっとG1を勝たせてあげられたと思うと残念」と、やや不完全燃焼だった旨のコメントを残している。
さらに「スピードの血も内包しているし、産駒の活躍を期待します」と、やはりステイヤータイプとして評価されることに少なからぬ懸念を抱いているようだ。
ただその一方、フィエールマンの前途は決して暗くないという声もある。
「ブリーダーズ・スタリオンは主に日高地方の牧場に種付けを行っていますが、貴重なディープインパクトの後継種牡馬として人気を集めると思います。またコントレイルを始め、ディープインパクトの成功馬の多くが米国血統との配合馬である一方、フィエールマンは欧州血統との配合馬。他のディープインパクト系の種牡馬よりも、繁殖牝馬を選ばないことは大きなアドバンテージになると思います。
社台スタリオンに行けなかったのは、急遽の引退で単純に“枠”がなかったかもしれません。来年辺り、初年度産駒のデビューを待たずに“栄転”という可能性もあるのではないでしょうか」(別の記者)
この日、手塚貴久調教師から「よく頑張ってくれました。今は感謝でいっぱいです。いずれフィエールマンに近い素質馬をその仔で作れたらと思います」と惜別の言葉を送られたフィエールマン。第2の馬生は厳しい状況からのスタートとなったが、多くのファンが2世の活躍を待っているはずだ。