JRA M.デムーロあわや「コースアウト」からの圧勝劇!? 「左回りが初めてで……」米国三冠馬アメリカンファラオから今年も大物出現か
11日、中京競馬場で行われた1R・3歳未勝利は、1番人気のトップザビル(牝3歳、栗東・武幸四郎厩舎)が勝利。昨年、ダートで旋風を巻き起こしたアメリカンファラオ産駒から、また1頭楽しみな逸材が現れた。
16頭立てのダート1800mのレース。大外16番のトップザビルは最後のゲートインとなったが、入った直後にスタートが切られたこともあって痛恨の出遅れ。さらに1コーナーでは、鞍上のM.デムーロ騎手が「左回りが初めてだったので1コーナーから右へ行っていた」と指摘した通り、一瞬右へ曲がろうとするアクシデント……大外を大きく回らされることとなった。
出遅れに加えて、コーナーで大きく膨れたこともあって、向正面の入り口では集団から3馬身以上遅れた最後方となったトップザビル。普通の馬ならこの時点で万事休すだが、向正面で一気に加速して集団に追いつくと、3、4コーナーでは外から大まくり。最後の直線入り口では2番手まで浮上した。
まだまだ“トップザビル劇場”は終わらない。迎えた最後の直線で先頭のフージャオを並ぶ間もなく交わし切ると、後方から伸びてきたランスオブアースの末脚に反応するようにエンジン点火。2頭で一気に後続を突き放すと、最後はランスオブアースに1馬身半差をつけて初勝利を飾った。
「ダートになって1200m、1400mと距離を伸ばしてきましたが、このくらいの距離(1800m)が一番合ってそうですね。
デビューからずっと右回りを使われてきたからか、最初のコーナーで右に行こうとした時はヒヤリとしました。あのまま逸走してもおかしくなかったと思います。
また、まくりに出た3、4コーナーでもかなりロスがあって、デムーロ騎手が『他の馬を気にしていた』と話していました。レースは1800mでしたが、この馬だけ100mくらいは長く走っているかもしれません。
レース後、デムーロ騎手が『まだ子供』と話していた通り、まだまだ粗削りな面が目立ちますが、それでも勝ってしまうのだから恐れ入りました。今後、競馬をしっかり覚えていけば、ダートの中距離でかなり上のクラスまで行けそうな気がします」(競馬記者)
コーナーでの逸走といえば、昨年末のホープフルS(G1)の最終コーナーでランドオブリバティが大きく外へ逸走し、競走中止になったばかり。今回のトップザビルは左回りと右回りを間違えた可能性が高いが、それでも勝ってしまうところに非凡な大物感がありそうだ。
「最後まで止まらずに伸びてくれた。スタミナがあります」
トップザビルをそう評価したデムーロ騎手。アメリカンファラオ産駒といえば、昨年はダノンファラオがジャパンダートダービー(G1)を勝ち、カフェファラオが重賞2勝を挙げるなど、数少ない初年度産駒から旋風を巻き起こした。大注目の米国三冠馬から、2年連続で大物が出現したのかもしれない。