元JRA藤田伸二氏「団野が悪い」一刀両断も大先輩からエール……日経新春杯(G2)団野大成デビュー3年目の重賞初制覇に立ち塞がった「苦難」と「屈辱」
「これをバネにしてもらって――」
17日、中京競馬場で行われた日経新春杯(G2)は、7番人気のショウリュウイクゾ(牡5歳、栗東・佐々木晶三厩舎)が勝利。鞍上の団野大成騎手にとっては、これが嬉しい重賞初勝利となった。
レース後「ちょっと自分でも信じられない」と喜びを爆発させた団野騎手。デビューイヤーに26勝、そして昨年62勝と階段を駆け上がってきた3年目の若手騎手が、その勢いのまま重賞タイトルを手にした。
だが、その道のりは決して一筋縄ではなかった。
昨年7月。11RのラジオNIKKEI賞(G3)に騎乗するはずだった団野騎手は、あろうことか同日7Rに落馬負傷……骨盤骨折の重傷を負っただけでなく、内田博幸騎手に乗り替わったバビットが重賞を勝つという憂き目に遭っている。
レース後、「沢山良い馬も乗れると思うので、これをバネにしてもらって、次なるタイトルを彼も頑張って取ってくれればいいかなと思います」と大先輩にエールを送られた団野騎手だったが、一方では元JRA騎手の藤田伸二氏から「あそこに突っ込んでる団野が悪い」(Twitter)と一刀両断にされるなど、勝負の世界の厳しさも味わった。
その後、再び戦線に復帰して順調に勝ち星を伸ばした団野騎手だったが、一度手を離れたバビットは内田騎手とのコンビのままセントライト記念(G2)も連勝。菊花賞、有馬記念といった騎手なら誰もが憧れるG1レースにも出走した。
一方の団野騎手もエリザベス女王杯や、阪神ジュベナイルFでG1騎乗を果たしたが、痛恨だったのが年末の阪神C(G2)だ。
重賞初制覇を懸け、3番人気のフィアーノロマーノに騎乗した団野騎手だったが、後方からほぼ何もできずに9着に惨敗……。レース後には「不甲斐ない競馬になり、申し訳なかったです」「もったいない競馬でした」と悔しさを露にしていた。
この日の日経新春杯は、そんな苦難を乗り越えて掴んだ勝利だった。これには元JRA騎手のアンカツこと安藤勝己氏も「団野のがむしゃらさが呼び込んだタイトル」と評価。
「この勝利に甘んじず、日々精進して頑張っていきたいと思います」
そう兜の緒を締めた団野騎手。まさに“昇竜行くぞ”の如く飛躍したい3年目に狙うのは、リーディングトップ10、そして待望のG1初制覇だ。