JRAラストイヤー藤沢和雄調教師に“フクキタル”?厩舎22頭目の日本ダービー(G1)出走へ「最後の大物」がついにデビュー!

 24日(日)、中山6Rの3歳新馬戦で遅れてきた“最後の大物”がデビューを迎える。それがC.ルメール騎手騎乗のヴァルガス(牡3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)だ。

 馬主は、パカパカファーム(代表ハリー・スウィーニー氏)が母体となって2017年に設立されたワラウカド(クラブ法人はフクキタル)。一口馬主としての歴史はまだ浅く、現6歳世代の3頭からスタートし、これまで4世代の合計20頭がJRAでデビュー。そのうち8頭が勝ち上がり、合計15勝を挙げている。

 重賞勝ちはもちろん、準オープン勝ちもまだないが、現役12頭のうち3頭がオープン入りを目指し、現在3勝クラスに在籍している。

 出世頭は、クラブ2世代目の5歳馬ルヴォルグ。総額7000万円という高額で募集されたディープインパクト産駒で、デビュー戦を勝ち上がり、キャリア2戦目の東京スポーツ杯2歳S(G3)では1番人気に支持された(結果は9着)。昨年5月にようやく2勝クラスを卒業したが、その後は3勝クラスで2戦連続2ケタ着順と苦しんでいる。

 他の2頭はともに4歳馬。牡馬のゼノヴァースはダート路線で、牝馬のセルフィーは芝で3勝クラス卒業が見えるところまで来ている。ワラウカドの出世組ともいえるこの3頭に共通するのが、藤沢調教師の管理馬という点だ。まさに「ワラウカド×藤沢厩舎」は好相性を誇る黄金タッグといえるだろう。

 逆に言えば、ワラウカドは各世代の期待馬を藤沢調教師に委託していると考えてもいい。そして、そのワラウカドが藤沢調教師に委託した3歳世代の2頭のうちの1頭がヴァルガスだ。

 モーリス産駒のヴァルガスは、総額3000万円で募集され、1歳9月時点ですでに500kgを超える雄大な馬体を誇っていた。長らくファンタストクラブで乗り込まれ、ゲート試験すら受けないままようやく美浦トレセンに入厩したのが昨年12月上旬のことだった。

「特に大きなアクシデントがあったわけではなく、(美浦トレセンへの)移動がかなり遅れたので、出資者は相当いらだっていたと思います。しかし、入厩後は入念に乗り込まれ、ゲート試験も一発で合格するなどセンスの良さを見せています。

デビュー予定と同時に鞍上(ルメール騎手)が発表され、出資者のテンションも上がったことでしょう。坂路でも好時計を出していて、最後の関門だった抽選も無事突破しました。上位人気が予想されますが、期待に応えてくれると思いますよ」(競馬誌ライター)

 藤沢調教師にとっても是が非でも勝ちたい一戦だろう。来年2月いっぱいで定年引退を予定している藤沢調教師にとって現3歳世代で迎える今年のクラシックは正真正銘の最後となる。厩舎最大の期待馬だったハープスターの全弟アークライトは3戦して未勝利。エポカドーロの半弟キングストンボーイはすでに2勝を挙げ、次走に共同通信杯(G3)を予定しているが、どちらかというと皐月賞(G1)向きに思われる。

 これまで21頭を日本ダービー(G1)に送り込んできた藤沢調教師にとって、ヴァルガスは最後の切り札となるのか。遅れてきた大器がいよいよそのベールを脱ぐ。

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