JRAラウダシオン「分身」被害馬がシルクロードS(G3)で引退。重賞3勝馬をまさかのスルーで競走生活に幕引き……
1日、重賞3勝の実績を持つプリモシーン(牝6歳、美浦・木村哲也厩舎)が引退し、繁殖牝馬入りすることが明らかになった。所有するシルクホースクラブが発表している。
18年のフェアリーS(G3)を制したプリモシーン。桜花賞(G1)で6番人気、NHKマイルC(G1)で5番人気に支持されるなど、同世代の中で上位の評価を受けた。初の古馬対戦となった関屋記念(G3)で重賞2勝目を飾り、翌年のヴィクトリアマイル(G1)はタイム差なしの2着に健闘。さらに20年の東京新聞杯(G3)を勝つなど、牡馬顔負けの活躍をした。
だが、昨年のダービー卿CT(G3)で1番人気に支持されるも5着、ヴィクトリアマイルは2番人気で8着と人気を裏切る結果に終わった。京阪杯(G3)で初のスプリント戦に挑戦するも10着、そしてラストランとなったシルクロードS(G3)は12着。引退の花道を飾ることが出来なかった。
惨敗に終わった引退レースだが、プリモシーンにとってショックだったのはこれだけでない。
シルクロードSの模様はフジテレビ系列で中継され、レース実況は東海テレビの加藤晃アナウンサーが担当した。18頭立ての1200m戦ということもあり、ゲートが開くと矢継ぎ早に隊列の状況を言いあげる。
「モズスーパーフレアがいきました。内でセイウンコウセイも好スタートか。外からクリノガウディー早めに前につけていく。それから内に2番のライトオンキュー、間から9番のヴェスターヴァルト、外を通りましてラウダシオンが現在5番手ぐらいの位置」
ここまではよく耳にするお馴染みの実況である。だが、この後に多くのファンが耳を疑うことが起きた。
続けて、中団から後方の隊列を丁寧に1頭ずつの名前を読み上げて実況。10番手にポジションを取ったシヴァージの名前を言った直後、「ラウダシオンはその後ろ、後方から」という言葉が飛び出した。
先ほどラウダシオンは「5番手」と言った直後に、「後方から」ともう一度言われて困惑したファンも多かったのではないだろうか。実は、2頭目のラウダシオンは同じシルクレーシングの勝負服のプリモシーン。帽子の色は違うものの、同じ勝負服ということで言い間違いが起きたのだ。
間違いは誰にでもあるもの。仕方のないことだが、プリモシーンはよりによってラストランでラウダシオンと間違えられてしまった。これに戸惑いを覚えたファンも少なくないだろう。
東海テレビのホームページで加藤アナウンサーは競馬実況について「ドラマや季節感を出すのが競馬実況」と語っているが、今回は思わぬ“迷実況”を生み出してしまったようだ。