JRA C.ルメール「ダービーホースですよ」”強奪”未遂エフフォーリアに未練タラタラ……藤沢和雄調教師のラストクラシックですれ違う「黄金コンビ」の思惑
やはり逃した魚は大きかったようだ……。
14日、東京競馬場で行われた共同通信杯(G3)は、横山武史騎手のエフフォーリア(牡3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)が2馬身半差で圧勝。昨年、史上最年少で関東リーディングを獲得した若きホープがクラシック戦線に大きく浮上した。
一方、そんな超新星に最後まで“未練タラタラ”だったのが、キングストンボーイ(牡3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)に騎乗して4着に敗れたC.ルメール騎手だったようだ。
皐月賞馬エポカドーロを兄に持つキングストンボーイは、単勝1.2倍で迎えたデビュー戦を快勝し、藤沢和雄調教師が『東京スポーツ』の取材に「2頭は青葉賞を勝って、残念ながらクラシックは勝てなかったけれど、(仕上がりが早い面で)キングストンボーイの場合はもっと期待できるのかな」と、厩舎の大先輩シンボリクリスエスやゼンノロブロイを引き合いに出すほどの期待馬。
デビューから一貫してルメール騎手を乗せていることからも、その期待度の高さがうかがえる。
しかし、その一方、共同通信杯の敗戦で通算4戦2勝と早くも黒星が2つも付いた。レース後にルメール騎手が「出遅れて、おまけにスローペースのレースになりました。このような形では、仕方がありません」と語った通り、この日の敗因は明らかだが、主戦騎手はキングストンボーイに対して大きな期待をしていないのかもしれない。
「実は共同通信杯の前に、ルメール騎手がエフフォーリアに騎乗するという話が浮上していました。騎乗予定のキングストンボーイを管理する藤沢和調教師が止めたことで、事なきを得たようですが、ルメール騎手の気持ちは切れ掛かっているのかもしれません。
この日のレース後も『勝った馬(エフフォーリア)は強かった。ダービーホースですよ』と早くも白旗宣言……半ば投げやりな発言にも聞こえますし、キングストンボーイとは今後のコンビ継続が心配ですね」(競馬記者)
藤沢和調教師といえば、来年2月の定年が決まっており、今年が最後のクラシック挑戦になる。それだけに良血馬キングストンボーイへの期待は大きく、厩舎悲願の日本ダービー制覇を成し遂げたレイデオロの主戦を務めるなど、数々の栄光を共有してきたルメール騎手は何としても確保しておきたいところだろう。
一方で、ルメール騎手の態度に理解を示す声もある。
「昨年、自己最多タイのG1・8勝を挙げるなど大活躍だったルメール騎手ですが、クラシックではコントレイル、デアリングタクトという2頭の三冠馬出現を許したこともあって無冠。特に牡馬クラシックでは早くからワーケアを選んでしまったため、ほぼ蚊帳の外といった状況でした。
このままキングストンボーイとのクラシックとなれば、相当厳しい戦いになりそうですし、ルメール騎手とすれば『今年は主役の1人でいたい』という思いは強いと思いますね」(別の記者)
もっともルメール騎手にはホープフルS(G1)2着のオーソクレースや、京成杯(G3)を快勝したグラティアスといった有力なクラシック候補がいる。その上でエフフォーリアまで乗りたいというのは、いくらJRA最強のリーディングジョッキーだとしても少々贅沢かもしれない。