JRA堀宣行調教師「決別」M.デムーロに痛過ぎる仕打ち!? 「今まで乗った中で一番強い」最愛パートナー産駒で立場逆転…… 乗り替わったのは”因縁”の相手
20日、東京競馬場で行われたフリージア賞(1勝クラス)は、レインフロムヘヴン(牡3、美浦・堀宣行厩舎)が勝利。2勝目を挙げて快調な滑り出しを決めた。
14頭立てのレース。3番枠から好スタートを決めたレインフロムヘヴン。積極果敢に先頭に立ってレースの主導権を握る。競り掛けてくる馬もなくマイペースに持ち込むと、最後の直線でも手応えは十分。インから強襲したイルーシヴパンサーに先頭を奪われるシーンもあったが差し返し。半馬身差をつけてゴールを駆け抜けた。
レース後、「ゲートを上手に出てくれました。他に行く馬がいなかったので、リズムを崩さないように先行させました。内からイルーシヴパンサーが来てからまた伸びましたし、まだ出し切っていない部分もありそうです。楽しみな馬です」と振り返った石橋脩騎手も次走に向けて好感触を掴んだようだ。
その一方で、元パートナーの勝利を複雑な気持ちで見ていたのが、同じレースにグレアリングレイに騎乗して7着と敗れたM.デムーロ騎手だろう。
デムーロ騎手は、昨年10月のデビューからここまで3戦すべてレインフロムヘヴンとコンビを組んでいたが、4戦目にして乗り替わり。自身が降板した馬の勝利を後方から目撃するという憂き目に遭った。
競馬において乗り替わりは珍しくない。ここまでは特別驚くことではないのだが、レインフロムヘヴンの父がドゥラメンテとなると少々趣が異なってくる。2015年の二冠馬ドゥラメンテは、デムーロ騎手との名コンビで知られた馬だ。
そして、このコンビ結成のきっかけとなったのが、この年の共同通信杯(G3)でドゥラメンテの手綱を執った石橋騎手だったのである。同騎手とのコンビでセントポーリア賞(1勝クラス)を5馬身差で圧勝したドゥラメンテは、次走の共同通信杯で単勝1.8倍の圧倒的人気に支持された。
しかし、絶好のスタートを決めて3番手につけながらも、石橋騎手は前に行き過ぎたことを嫌ったのか何度も手綱を引っ張って下げてようとした。外から気分よく追走していたドゥラメンテは頭を上げて抵抗。3番手から中団後方までポジションを悪くしてしまう。最後の直線に入って上がり最速の脚で猛然と追い上げたものの、インから抜け出したリアルスティールに出し抜かれる形で先着を許し、半馬身差で2着に敗れた。
この敗戦の結果、石橋騎手はドゥラメンテを降板となり、乗り替わったデムーロ騎手とのコンビで皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)を圧勝してスターダムに駆け上がっていった。
「よりによってデムーロ騎手が大好きだったドゥラメンテ産駒を降ろされて、石橋騎手に乗り替わったことは皮肉な結果です。昨年までデムーロ騎手を起用していた堀調教師ですが、今年の騎乗依頼はゼロと関係は完全に冷え切っています。
マイルCS(G1)のサリオスで見せ場なく敗れたことが、決定打となったのかもしれません。有力馬の依頼をデムーロ騎手からC.ルメール騎手、松山弘平騎手へシフトしているように、デムーロ騎手とは事実上の決別といってよさそうです」(競馬記者)
フェブラリーS(G1)を快勝したカフェファラオにしても、ヒヤシンスS(L)こそデムーロ騎手で勝利したものの、以降はD.レーン騎手、ルメール騎手を起用したように、堀厩舎からの信頼はかつとてとは天と地の差が見え隠れしていたのも事実である。
レインフロムヘヴンの乗り替わりも、堀厩舎としてはおそらく既定路線だったと考えられる。
とはいえ、デムーロ騎手が「今まで乗った中で一番強い」と評した最愛のパートナーの産駒だっただけに、現在置かれている状況の深刻さがより一層、際立つ結果となってしまった。