JRA松田国英調教師「もうひとつ上を目指すために……」ラストウィーク「最多5鞍」の手綱を託す思い。師の思いに応えるべく「燃える男」とは
JRAの規定により、今週がラストウィークとなる松田国英調教師。これまでに幾多の名馬を育て上げた名伯楽で、キングカメハメハ、クロフネ、ダイワスカーレットなど、数え上げれば枚挙にいとまがない。
そんな松田国厩舎から、最終週は土曜日に6鞍、日曜日に7鞍と多くの管理馬が出走予定。計13鞍の内、5鞍と最も多くの手綱を任されたのが鮫島良太騎手だ。
競馬学校を卒業後、2005年に松田国厩舎所属でデビューした鮫島良騎手。前年の2004年にキングカメハメハで2度目の日本ダービーを制覇したトップステーブルで、2008年にフリーになるまで修行を積んだ。松田国調教師とは「師弟関係」にあたる。
これまで師匠である松田国調教師の管理馬では36勝を挙げたが、重賞では24戦0勝。2着2回が最高と、大きな結果を残すことができなかった。
このコンビで最後の重賞挑戦となったのがサトノウィザードに騎乗した東京新聞杯(G3)。鮫島良騎手にとっても気合の入る一戦だったに違いない。
レースは16頭立ての東京芝1600m戦。サトノウィザードは出遅れて最後方からの競馬となった。
レース後「ラチにはつけないようにとの指示だったので敢えて離して運びましたが、その分、道中でしんどくなってしまったのかもしれません」と振り返ったように、スタートから外に持ち出した鮫島良騎手。直線でも大外に持ち出したが、末脚不発で9着に敗れた。
今週、松田国厩舎からの重賞出走がないこともあって結局、最後まで師匠とのタッグで重賞を勝利することができなかった鮫島良騎手。だが、中にはジョッキーが唇をかむほどの惜しいレースもあったようだ。
「『もっと、こうしていれば』と今でも悔しさがある」
鮫島良騎手が『サンスポZBAT!競馬』の取材に対し、そう語ったのは2006年(デビュー2年目)の福島牝馬S(G3)だ。
騎乗したのは、クロノジェネシスやノームコアの近親にあたるライラプス。レースでは道中、中団最内の経済コースを追走した。
勝負どころで内をスルスルと押し上がり、最後の直線で一旦は先頭に。しかし、外目を回したロフティーエイムがジリジリと盛り返し、ゴール直前で差し返されたライラプスはアタマ差の2着に敗れている。
2006年に年間60勝あった勝鞍も、昨年は9勝と一桁台にまで減少。今年もまだ2勝と、苦戦が続いている。
東京新聞杯の際、松田国調教師は「もうひとつ上を目指すために、良太くんに乗ってほしい」との思いでサトノウィザードの騎乗を託したそうだ。今週、ラストウィークに13鞍の内、5鞍もの騎乗を託したのも、鮫島良騎手の復活を願ってのことだろう。
このコンビで競馬に挑めるのも、今週が最後。鮫島良騎手も、師の思いに応えるべく燃えているはずだ。