JRA三冠馬アパパネを5馬身超ちぎったエリザベス女王杯(G1)そっくり!? 欧州最強女王の妹が「すーんごい」豪脚でデビュー勝ち!
JRAでは2月20~21日の週で「3歳新馬戦」が終了。27日以降、未出走馬は既走馬に交じって未勝利戦でデビューすることになっている。
そんな中、28日の阪神競馬場で行われた4Rの3歳未勝利戦(芝1800m、牝馬限定)では、楽しみな逸材が圧巻のデビュー戦勝利を収めた。
その馬の名前はシュレンヌ(牝3歳、栗東・安田翔伍厩舎)。坂路で俊敏な動きを披露していたが、初出走に加え、410kgという小さな馬体も相まって、期待より不安の方が大きいなかでのデビュー戦。既走馬に交じって4番人気という支持を集めた。
注目を浴びた理由の一つが父ディープインパクト、母ウッドランドドリームという血統だ。母の名前を聞いてピンと来た人はかなり血統に詳しいはず。アイルランドで生産されたウッドランドドリームは、競走馬としては大成しなかった無名の存在。しかし、繁殖牝馬としては、日本へ遠征しエリザベス女王杯(G1)を連覇した欧州の女王スノーフェアリーの母として知られる。
3歳時にイギリスとアイルランドのオークスを制したスノーフェアリー。3歳時の2010年秋に来日し、エリザベス女王杯に挑戦。アパパネ、メイショウベルーガなどに次ぐ4番人気に支持された。もちろん日本の馬場への対応力は未知数で、レース前は懐疑的な見方が多かった。
しかし、好スタートから中団の前目を気分良く進むと、先頭から5~6馬身離れた6番手で4角を回る。直線を向くと、鞍上のR.ムーア騎手は空いたラチ沿いのインコースを選択。ムーア騎手が気合をつけると、あっという間に先頭に立ち、その脚色は最後まで鈍ることなく、2着メイショウベルーガに4馬身差、3着アパパネに至ってはさらに1馬身4/3差をつける圧勝劇を演じた。
日本の三冠牝馬をちぎり捨てた驚愕のパフォーマンスに、レースの実況を担当したラジオNIKKEIの檜川彰人アナウンサーから「スノーフェアリーがすーんごい脚!」という名文句も飛び出した。
そのスノーフェアリーの半妹シュレンヌがデビュー戦で発揮した豪脚は、まさに11年前の姉のそれを彷彿とさせるものだった。
スタートで後手を踏んだシュレンヌ。スローペースで流れるなか、終始後方に控え4角でも後ろから2頭目という絶望的な位置。しかも、直線入り口ですぐ外を走っていたミスフィガロに蓋をされ、絶体絶命のピンチに陥った。
しかし、岩田望来騎手が右ムチを入れると、シュレンヌは馬群をこじ開け、ミスフィガロと馬体を併せて一気に先頭集団にとりつく。最後は、3/4馬身突き放し、見事なデビュー戦勝利を飾った。
「並みの馬なら、直線で蓋をされた時点で走る気をなくしていたでしょう。しかし、馬群を割った勝負根性、そして坂を上がってからの伸び脚はまさに11年前の姉の走りそのもの。奇遇にも実況が檜川アナウンサーだったことも、当時を思い出させてくれました。
(時期的に)オークス(G1)は厳しいかもしれませんが、秋華賞(G1)もしくは姉が連覇したエリザベス女王杯で是非見てみたいですね」(競馬誌ライター)
シュレンヌの母ウッドランドドリームは、スノーフェアリーの活躍を受け、2013年にケイアイファームがアイルランドから輸入し、同ファームで繁殖牝馬として過ごしている。ケイアイファームが大きな期待とともに導入したウッドランドドリームから待望の大物誕生となるのか。シュレンヌにかかる期待は大きい。
また、国内で生まれたシュレンヌの兄姉は3頭いるが、デビューした2頭は未勝利。牝馬2頭はすでに繁殖に上がっている。シュレンヌもいずれは繁殖牝馬としてケイアイファームを支える存在になっていくのだろう。