JRA福永祐一「負けるのは避けたかった」シーザリオ唯一の敗戦は大金星!? 譲れない意地とプライドで勝ち取った信頼
日米オークス制覇を成し遂げた名牝・シーザリオが、27日に子宮周囲の動脈断裂による出血性ショックのため、繋養先のノーザンファームで急死したとJRAから発表された。
シーザリオの現役時代に主戦であった福永祐一騎手は「とても残念です。競走馬としてのみならず、母としても3頭の種馬を出して、偉大な馬だったと思います。この馬となら世界中どこに行っても勝負できると初めて思わせてくれました。安らかに眠ってほしいです」と『サンスポZBAT!競馬』にてコメント。自身とのコンビで偉業を成し遂げたかつてのパートナーを労った。
福永騎手がシーザリオに騎乗するきっかけとなったのは、2004年に行われた角居厩舎の忘年会。参加していたジョッキーが挨拶をするなかで、「今年はあまり貢献できなかったので、機会をいただけるのであれば、来年こそはぜひ貢献したいです」と話したことで、直後にシーザリオの騎乗依頼が舞い込んだと『netkeiba.com』のインタビューにて語っている。
そんな、シーザリオは生涯成績6戦5勝。唯一、敗戦を喫したのが05年の桜花賞(G1)だった。
デビュー戦で福永騎手を背に勝利したシーザリオは、寒竹賞(1勝クラス)、フラワーC(G3)と3連勝。無敗で桜花賞に駒を進めることとなる。
しかし、この年の福永騎手には4戦3勝のラインクラフトというお手馬もいた。
福永騎手は桜花賞で先約のあったラインクラフトに騎乗。シーザリオの鞍上は愛知の吉田稔騎手に決定するのだが、この地方ジョッキー起用には「オークスで福永さんに戻しやすいように」という、角居調教師の配慮があったという。
桜花賞では福永騎手のお手馬2頭が人気を分け合う形となる。シーザリオが3.9倍の1番人気で、ラインクラフトが4.6倍の2番人気。レースでも最後は2頭の争いとなった。
アタマ差で勝利したのは、福永騎手が騎乗したラインクラフト。主戦騎手を失ったシーザリオは、距離適性の差や展開のあやもあって2着に惜敗している。
ラインクラフトに騎乗した福永騎手は「あの馬(シーザリオ)に負けるのは避けたかったですね。暮れは僕のミスで負けたので、今日は本当に勝ちたかったんです」とコメント。阪神JF(G1)では4コーナーで大きく外を回される不利もあったが、桜花賞では会心の騎乗で雪辱を果たした。
シーザリオに騎乗した吉田稔騎手も「スムーズなレースが出来て最後もいい脚を使ってくれたんだけど、惜しかったなぁ。でも勝った馬は僕の馬よりスムーズなレースをしてましたからね」と福永騎手の騎乗を絶賛。ラインクラフトを管理した瀬戸口勉調教師が「お前がオークスでシーザリオに乗るんやったら、うちはNHKマイルC(G1)に行くわ」と福永騎手に話したのも、それだけの信頼を勝ち取っていたということ。
シーザリオに生涯唯一の敗戦を与えた福永騎手だが、その手腕があったからこそシーザリオの騎乗依頼もあったということだろう。その後は日米オークス制覇したシーザリオだが、福永騎手だったからこそ、その偉業は成し遂げられたのかもしれない。