JRAカレンモエ誕生にあった「小さな恋物語」名スプリンターは「片思い」!? 両親に近づくためオーシャンS(G3)勝利が譲れない理由
6日、中山競馬場で行われるオーシャンS(G3)に、カレンモエ(牝5歳、栗東・安田隆行厩舎)が出走を予定している。
『netkeiba.com』の予想オッズでは、単勝2.0倍と圧倒的1番人気。同馬に期待するファンも多いことだろう。
それもそのはず。カレンモエは、次に控える高松宮記念(G1)制覇が至上命令と言われるだけの夢の配合から誕生した馬だからだ。同馬は父ロードカナロアに、母カレンチャンという血統。どちらも高松宮記念を制した名スプリンターであり、ともに安田隆行厩舎の管理馬である。
スプリントG1馬2頭による夢の配合で、両馬を管理した名門厩舎。血統通りに走らないのが競馬であり、それが夢のG1レース一歩手前まで来ているのだから期待されるのも当然だ。
カレンモエの母であるカレンチャンは2011年に素質が開花し、2月の山城S(3勝クラス)を制すると5連勝でスプリンターズS(G1)を制覇。一方、そんな最中に短距離界の新星として突如現れたのが、カレンモエの父・ロードカナロアである。
同馬は初のG1参戦となった2012年の高松宮記念で3着と敗れたが、その時の勝ち馬が絶頂期のカレンチャン。その後、秋のスプリンターズSで再戦した2頭はワンツーフィニッシュを決めた。
ロードカナロアは続く香港スプリント(G1)も制すると、翌年の高松宮記念では前年3着のリベンジを果たし戴冠。続く安田記念(G1)も制覇し、前年に勝利したスプリンターズSと香港スプリントを連覇で飾り、自らの引退に花を添えている。
2012年のスプリント界で凌ぎを削った盟友がともに引退し、夢の配合が行われたのはカレンチャンが繁殖牝馬となって2年目。カレンモエ誕生までには、現役時から続く「小さな恋物語」があったそうだ。
2頭がスプリンターズSでワンツーを決めた2012年。両馬を担当した岩本助手は「カレンチャンの方はそうでもないんですが、ロードカナロアはかなりカレンチャンのことを意識しているんです。2頭が一緒にいる時は結構気を使うんですよ」と、当時の東スポ『今週の職場恋愛』にて語っている。
その後の香港遠征の際も「日本から他に馬が行くか気になります。2頭だけだとまたロードが馬っ気を出しそうで…」と話しており、ロードカナロアがかなり惚れていたことがわかる微笑ましいエピソードだ。
そんな「片思い」から約4年、2頭の間に産まれたのがカレンモエである。
猛アタックの末に結ばれた2頭の「愛の結晶」。カレンモエを管理する安田隆調教師は『日刊スポーツ』の取材に対し「なんとかここで重賞を」とオーシャンSでの勝利を意識しているようだ。
両親がともに制した高松宮記念に向けて、ここは負けられない戦い。優先出走権の獲得や賞金的な話はもちろんだが、もしかすると母カレンチャンがロードカナロアと出会ったように、将来のお婿様が待っているかもしれないのだから――。