JRAメイケイエール「武豊の法則」で桜花賞は苦戦必至!? チューリップ賞(G2)勝っても負けても本番は……レジェンドの「苦い記憶」とは
6日、阪神競馬場ではチューリップ賞(G2)が行われる。例年、阪神JF(G1)を好走した馬が人気を集めるレース。本番と同じ阪神・芝1600mでもあり、これまで多くの桜花賞馬を輩出している重要なトライアルだ。
2018年にG2に格上げされて以降、不思議と桜花賞馬は出ていないが、別路線組が強力過ぎた背景もある。近年の桜花賞馬は昨年がデアリングタクト、一昨年はグランアレグリア、3年前はアーモンドアイだっただけに度外視可能だろう。
今年の主役はメイケイエール(牝3、栗東・武英智厩舎)で間違いない。
阪神JFで4着に敗れたものの、先着を許した阪神JFの勝ち馬ソダシはトライアルを挟まずに桜花賞への直行を選択。2着馬、3着馬の出走はなく相手関係はかなり楽な印象である。
だが、陣営も高いポテンシャルを認めるメイケイエールにとって、最重要となる課題は折り合いだ。芝1200mでも引っ掛かる前進気勢の強さに、コンビを組む武豊騎手も手を焼かされている。
前走の阪神JFはフルゲートの8枠18番の大外からスタートしたメイケイエール。馬群に近づいてスイッチが入ることを警戒したのか、武豊騎手は内へ進路を取らずに離れた外からの追走を選んだ。道中でもメイケイエールは終始、首を前後させたように折り合いを欠く状態。4コーナーを過ぎて最後の直線に入っても大外を通らざるを得なかった。
しかし、これだけ掛かり通しだったにもかかわらず、末脚の切れは目を見張るものだった。残り50mで力尽きたが、一時は突き抜けるかのような勢いを見せた豪脚は、見る者に「負けてなお強し」と思わせるだけの強烈なインパクトを残している。
スタートから折り合いを欠いた状態で外を回った不利を考慮すると、後れを取った0.2秒差は悲観する内容でもない。それだけに、本番前の同舞台で気性面の改善に一定のメドを立てておくことは、メイケイエールにとって距離克服の最重要課題となる。
その一方で、武豊騎手がコンビを組んだ馬で、距離に課題のあったパートナーが桜花賞で凡走した過去の事例も見逃せない。
2007年にコンビを組んだアストンマーチャンは、小倉2歳S(G3)、ファンタジーS(G3)を連勝して臨んだ阪神JFで2着。翌年のフィリーズレビュー(G2)を圧勝し、桜花賞では2番人気に支持されたが7着に敗れた。
同世代にダイワスカーレット、ウオッカという最強クラスの牝馬がいたことも不運だが、アストンマーチャンはこの敗戦を機に短距離に路線変更。待望のG1制覇を遂げたのは同年秋のスプリンターズS(G1)でのこと。