JRA社台期待の「世界的良血」オヌール&武豊が2連勝でオークス(G1)路線へ名乗り! 無敗街道進むも、待ち受けるは姉デゼルになかった“いばらの道”……?
7日、阪神9Rでは3歳1勝クラスのアルメリア賞(芝1800m)が行われた。少頭数7頭立ての一戦を制したのは1番人気のオヌール(牝3歳、栗東・友道康夫厩舎)。デビュー2連勝を飾り、牝馬クラシック戦線に名乗りを上げた。
武豊騎手を背に7枠7番から好スタート切ったオヌール。前半3ハロン37秒9という超がつくスローペースのなか、しっかり折り合って3~4番手の外を追走した。1000m地点でも64秒3とペースは上がらず、瞬発力勝負に持ち込まれた。
7頭がほぼ一団で直線を向くと、道中2番手を追走していたギャラントウォリアが早くも先頭に立つ。武騎手がそれに並びかけようとオヌールにゴーサインを送るが、その差はなかなか詰まらない。大外からオヌールを上回る脚で猛追したのはジャスティンカフェ。残り約100m地点でこの3頭が横に並ぶ大接戦となったが、最後はオヌールが上がり32秒7の末脚で、真ん中を突き抜けた。
昨年のデビュー戦に続き手綱を取った武騎手はレース後、「2戦目でさらに良くなっていました。上手にレースをしてくれました。着差以上に強さを感じました」とコメント。その成長ぶりを感じ取ったようだ。
気になる次走だが、賞金的にも時期的にも桜花賞出走は厳しい。NHKマイルC(G1)トライアルの選択肢もあるが、おそらくオークス(G1)トライアルが濃厚だろう。所有する社台レースホースと管理する友道調教師は、昨年のオークスで味わった悔しさを晴らしたいはず……。
1年前は、オヌールの全姉・デゼルがデビュー2連勝で臨んだオークスで2番人気を裏切り、11着に敗れているからだ。
「デゼルとオヌールは父ディープインパクト、母が仏オークスなどを制した名牝のアヴニールセルタンという超良血の全姉妹です。1歳上のデゼルは、3歳を迎えた昨年3月15日にデビューし、2戦目のスイートピーS(L)で2連勝を飾りました。
オークスでは、デアリングタクトに次ぐ2番人気に支持されましたが、直線伸びを欠き11着に大敗。中2週で2度の長距離輸送がたたり、馬体重も大きく減らし、状態が万全でなかったことが敗因でした。
一方、全妹のオヌールは姉がデビューした3月中旬を迎える前に早くも2勝目をマーク。オークスに向けて、十分な間隔を取ってトライアルに臨めそうです。陣営としては、オークスで姉のリベンジを狙いにいくのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
そんなオヌールには、馬体重維持という姉と同じ難題が待ち受けている。オヌールはデビュー戦を418kgで走った小柄な馬体の持ち主。3か月の間隔を空けて臨んだ今回は、前走から6kg減の412kgでの出走だった。470kg台でデビューした姉に比べても2回りも3回りも小さい。
それでも追い込み一辺倒でオークスに駒を進めた姉に対し、オヌールは先行抜け出しで2連勝を飾ったセンスの持ち主。それでいて2戦連続上がり2位の末脚を繰り出している。
次走に向けて敵はオヌール自身。良血馬が歩むのはいばらの道か、それとも栄光への道か。