JRAシゲルピンクルビー「桜花賞直行組」より高い壁!? 女王ソダシ、サトノレイナス打倒に立ちはだかるラインクラフトの偉業

 14日、阪神競馬場で行われたフィリーズレビュー(G2)は、和田竜二騎乗の8番人気シゲルピンクルビーが優勝。好スタートから中団内目を進み、直線は馬場の真ん中に持ち出されると鋭い伸び。先に抜け出した2番人気の「九州産の星」ヨカヨカをゴール寸前でクビ差捕らえた。3着には後方から猛然と追い込んだ11番人気のミニーアイルが入り、この3頭が桜花賞(G1)の優先出走権を手にした。

 良馬場で1:20.7の勝ちタイムは、過去10年のフィリーズレビューで最も速く、回復したとはいえ当日昼過ぎまで稍重馬場であった事を考慮すると優秀な時計である。つまり今年のフィリーズレビューは例年とは「一味違う」と考えて差し支えないだろう。

 レース体系が整備され、外厩も当たり前の時代となった近年。有力馬は最高格であるG1レースにあらゆるローテーションから参戦してくる。

 昨年の阪神JF(G1)を制した「白い女王ソダシ」と2着のサトノレイナスは早々に「桜花賞直行」を発表した。3着ユーバーレーベンはフラワーカップ(G3)からの始動を予定、4着メイケイエールは先日のチューリップ賞(G2)で年明け初戦を飾った。5着ヨカヨカはフィリーズレビュー組。有力馬のローテーションの多彩さだけでも既に桜花賞は百花繚乱である。

 しかしながら何故か、「フィリーズレビュー優勝馬」は本番で不振が続いており、フィリーズレビューと桜花賞を連勝した馬は2005年のラインクラフトまで遡らなければならない。

 その間08年にレジネッタ、17年にレーヌミノルがフィリーズレビューでの「敗戦」をステップに桜花賞馬に輝いているが、勝ち馬が15連敗中な上、本番で馬券圏内に突入したのも12年3着アイムユアーズのみというのは寂しい。

 アイムユアーズは11年の阪神JF2着馬。ラインクラフト同様、前年の世代最強決定戦でトップクラスの実力を証明し、1番人気に支持された中でフィリーズレビューを勝っている。

 このタイプにはもう1頭07年アストンマーチャンがいるが、桜花賞で2番人気に支持されながらダイワスカーレット、ウオッカという規格外の牝馬2頭に苦汁を飲まされた。なお、アストンマーチャンはその秋にスプリンターズSを制するような超快速娘であり、当時ダイワスカーレット以上の人気でも全く不思議の無かった実力馬だ。

 このように、フィリーズレビューと桜花賞の連勝は、実力馬をもってしても一筋縄ではいかない歴史がある。ややもすれば、本番に直行するソダシ、サトノレイナス以上に高い壁かも知れないのが「ラインクラフトの再現」である。

 また、順当に行けばこのまま継続騎乗であろう和田竜騎手は意外にもこれまで牝馬でのG1勝利がない。モズカッチャン(オークス)、クロコスミア(エリザベス女王杯)、ラブカンプー(スプリンターズS)、そしてシゲルピンクダイヤ(桜花賞)と、あと一歩のところで栄冠を逃しているのは気掛かりだが、逆に言えばそろそろ順番という考え方も出来る。

 2年前、姉のシゲルピンクダイヤとコンビを組んだ桜花賞で2着に敗れた和田騎手。悔しさを知る男が妹のシゲルピンクルビーで姉の無念を晴らしたその先に、桜色の宝石は輝いている。

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