JRA伸び悩んだ若手有望株の「改心」が呼んだWIN5歴代最高払戻! 金鯱賞(G2)デアリングタクト撃破の大金星…… 会心勝利の裏に手を差し伸べたあの騎手の存在
先週の金鯱賞(G2)は最低人気のギベオン(牡6、栗東・藤原英昭厩舎)がマイペースに持ち込んで逃げ切り、大波乱を演出。3歳時はNHKマイルC(G1)で2着に入るなど、世代上位の力を持っていたが、古馬になってからはもうひとつで近走はさっぱりの成績だった。
殊勲の大金星を挙げた西村淳也騎手は「追い切りの時から状態は良かったですし、自信を持って乗りました。枠順が決まってから藤原先生と相談して、このメンバーならハナに行こうかという話もありました」とコメントしていたように、陣営の作戦も見事に成功。
「3、4コーナーで少し手応えが悪くなりましたが、直線に向かってからは伸びてくれました。内、外が離れていたので分かりませんでしたが、後は祈るだけでした」と、デビュー4年目に手にした重賞初Vを振り返った。
だが、待望の重賞初勝利までの道のりは決して順風満帆だった訳でもない。
「デビュー2年目にブレイクした西村騎手ですが、当初はマスコミに対するぶっきらぼうな態度や川田将雅騎手に憧れたような振る舞いで、評判がよかったとはいえませんでした。声をかけても『見れば分かるでしょ。今は忙しいんで後にしてください』と一蹴されたり、いざ話しても聞き取れないくらいの小声だったり、メモできない程の早さで一方的に話したりとマスコミ泣かせでしたね」(競馬記者)
しばらくそういった状況が続いたが、減量特典がなくなるにつれ勝ち星のペースも鈍化。勢いにも翳りが見え始めた。
そんな中、これはヤバいと気付いて忠告したのが先輩の荻野極騎手だった。
「荻野極騎手も乗れる若手として頭角を現しましたが、同じような言動や振る舞いで伸び悩んだ経緯があり、自身の体験や経験を元に『このままだと俺みたいになるぞ!態度を改めた方がいい』と諭したようです。
そこからはガラッと急変しましたね。昨年くらいからは表情も明るくなって、マスコミに対しても自ら歩み寄ってコメントするようになりました。当初はあまりの豹変ぶりに戸惑っていた記者達も今となっては『あの子は変わったよね』と評価しています」(同記者)
元々勝ち気な性格でガッツもある西村騎手。積極的な騎乗を持ち味に徐々に勝ち星を増やし、再び上昇気流に乗っていきそうな雰囲気もある。
年明けの小倉でも11勝を挙げて小倉リーディング5位と健闘し、存在感を見せていた。その中で昨年の三冠牝馬を破ってWIN5歴代最高払戻の立役者になった。
今後もローカル中心の騎乗になりそうが、地道に腕を磨いていけばもう一段上を狙っていける可能性はありそうだ。これを機に更なる飛躍を期待したい。