JRA若葉S「武豊ディープモンスターを負かした男」アドマイヤハダルが皐月賞(G1)候補へ急浮上! 超新星登場に「あの騎手」は複雑……?
20日、阪神競馬場で行われた皐月賞トライアル若葉S(L)は、2番人気のアドマイヤハダル(牡3歳、栗東・大久保龍志厩舎)が勝利。叔母にG1・3勝のスイープトウショウを持つ良血馬が、本番の皐月賞(G1)へ大きく前進した。
10頭立てで行われた芝2000mのレース。やや煽り気味のスタートとなったアドマイヤハダルだが、レース後に「積極的に自分で動ける位置でレースをしようと思った」と振り返った鞍上の松山弘平騎手が促して好位へ。4番手で流れに乗ると、最後の直線ではあっさりとライバルたちを置き去りにした。最後は2着シュヴァリエローズに3馬身差をつける完勝だった。
「強い競馬でした。1番人気の2着シュヴァリエローズは、昨年末のホープフルS(G1)で5着だった実力馬だけに、この勝利は価値がありますね。
レースが異なるので一概には言えませんが、シュヴァリエローズはホープフルSで勝ったダノンザキッドと0.6秒差。この日はアドマイヤハダルと0.5秒差。これだけを見てもアドマイヤハダルが皐月賞で好勝負できる可能性を秘めていることがうかがえます。
若葉Sの勝ち馬からはジェニュインやヴィクトリーといった皐月賞馬も出ていますし、近年でもヴェロックスが本番で2着。アドマイヤハダルも皐月賞争いの勢力図に割って入れるだけの器だと思います」(競馬記者)
その強さは「本物」だった。
アドマイヤハダルが2勝目を挙げた前走のエリカ賞(1勝クラス)では、1番人気だったディープモンスターの追撃を振り切っての勝利。そのディープモンスターは、その後に梅花賞(1勝クラス)、すみれS(L)を連勝してクラシックの有力候補に上り詰めたが、当時4番人気だった本馬はアイビーS(L)で4着に敗れていたこともあって、どこかフロック視されていた。
しかし、この日はそんな“疑念”を完全に払拭する圧勝劇。これには本馬を管理する大久保調教師も「思っていた以上に強かった。ここまで強いとは思ってなかった」と驚きを隠さない様子だったが、いずれにせよ皐月賞の有力候補に躍り出たことは間違いないだろう。
「強かったです」「反応が良く、追ってから突き放してくれました」
レース後、そうアドマイヤハダルを絶賛した松山騎手だが、どうやら素直に喜べない事情もあるようだ。
「レース後にアドマイヤハダルを高く評価していた松山騎手ですが、皐月賞では京成杯(G3)を勝ったグラティアスに騎乗することが発表されたばかり。あの馬も京成杯を2馬身半差で勝った素質馬ですが、今日のアドマイヤハダルのインパクトはそれ以上かもしれません。
目の前のレースをしっかりと勝ち切った松山騎手はさすがですが、皐月賞の行方を考えると強力なライバルの出現に頭が痛いかも……」(同)
「権利をもらったので、前向きに考えたいと思います」
レース後、アドマイヤハダルの皐月賞挑戦を示唆した大久保調教師。デビュー戦から手綱を執っていた福永祐一騎手はレッドベルオーブでの皐月賞参戦が濃厚で、この日は中京で騎乗している。トライアルを快勝し、皐月賞の有力候補となったアドマイヤハダルだが、鞍上の行方は大きく注目されそうだ。