JRA「単勝138.4倍」トゥラヴェスーラ驚愕の4着激走!「悔しい気持ちが大きい」安藤勝己氏も絶賛した”穴男“鮫島克駿に「足りないもの」とは
28日、中京競馬場で行われた春のスプリント王決定戦・高松宮記念(G1)は、2番人気のダノンスマッシュが勝利。上位人気馬3頭による接戦を制して、待望の国内初G1を手にした。
昨年の最優秀短距離馬グランアレグリアが不在の中、雨で重い馬場になったことも手伝って1番人気のレシステンシアの単勝は2.9倍。2番人気ダノンスマッシュに至っては、単勝6.0倍、3番人気インディチャンプが6.3倍と戦前から混戦ムードが漂っていた。
しかし、最後のゴール前は上位3強による接戦。元JRA騎手の安藤勝己氏がTwitterを通じ「適性より地力が問われる馬場になった」と語った通り、順当な結果となった。
そんな中、穴馬で唯一気を吐いてファンを驚かせたのが、単勝138.4倍の16番人気トゥラヴェスーラ(牡6歳、栗東・高橋康之厩舎)だ。
スタートこそ一息で、いつもより後方からの競馬となったトゥラヴェスーラだったが、すぐ隣の枠からスタートしたダノンスマッシュを見る絶好のポジションに恵まれた。
この“幸運”を活かしたのが、鞍上の鮫島克駿騎手だ。
「今日はリズム良く走らせることを考えて、ダノンスマッシュを見ながらレースを進めた」と語った通り、終始ダノンスマッシュをマークするような位置取りに徹すると、最後の直線でも勝ち馬が突いた進路を辿って浮上。これには安藤氏も「ワンツー(ダノンスマッシュとレシステンシア)の後からヴィクトリーロードを狙って追ってきた」と鮫島克騎手の好判断を絶賛している。
結果は惜しくも4着と、ファンに馬券で貢献することは叶わなかったが、鮫島克騎手の好騎乗が光ったレースだった。
鮫島克騎手といえば、2月のフェブラリーS(G1)でも、9番人気のエアスピネルで2着に突っ込み波乱を演出。今回はあと一歩で馬券圏内に及ばなかったが、見せ場十分の騎乗だった。
昨年は37勝に終わったが、今年はすでに18勝と自己最多の42勝の更新も十分に狙えるペース。若手ジョッキーの充実ぶりが目立っている。
ただ、その一方で課題もあるようだ。
「若手の中では上手いジョッキーなんですけど、2着が多くてなかなか勝ち切れないんですよね。37勝の昨年も2着が52回もあり、一昨年も28勝に対して2着44回。ここが解消できれば、一気にトップジョッキーに仲間入りしてもおかしくない存在だけに頑張ってほしいですね」(別の記者)
確かにフェブラリーSで2着した際も、レース後には「着差が着差だけに、乗り方一つで何とかなったかもと思うと、すごく悔しい」と語っていた鮫島克騎手。ブレイクを果たすためには、あと一歩何かを変える必要があるのかもしれない。
「着差があまりなかっただけに、悔しい気持ちが大きいです」
それでも単勝138.4倍の16番人気馬で4着に善戦しても悔しがれるのは、鮫島克騎手の飽くなき向上心があればこそ。待望のブレイク、そして悲願のG1制覇へ。貪欲な若武者が腕を磨き続ける。