JRA 「17年間」重賞未勝利だったイケメン調教師がスマイルカナと狙うダービー卿CT(G3)! 定年前にタイキフォーチュン以来のG1獲りチャンスも
4月3日、中山競馬場で開催されるダービー卿CT(G3)。翌日に行われる大阪杯(G1)の影に隠れて地味な印象もあるが、今年は見どころの多いレースになりそうだ。
まずは前走の東京新聞杯(G3)を制し、一気の3連勝で重賞初制覇を果たしたカラテ(牡5、美浦・高橋祥泰厩舎)と、デビュー3年目・菅原明良騎手のコンビに注目したい。
なんといっても前走で印象に残っているのが、菅原明騎手のゴール後のガッツポーズだ。馬名の由来でもある空手の「型」よろしく、手刀を切るようなアクションを覚えている競馬ファンも多いだろう。もちろん、最後の直線で何度も詰まる不利がありながら、ゴール前で演じたカテドラルとの激しい叩き合いは見応えがあった。
人馬ともに重賞初制覇となったゴール後のインタビューでは、人目をはばからず男泣きした菅原明騎手。初コンビを組んだ昨年6月、東京競馬場の八丈島特別で挙げた勝利は、それまでなかなか1勝クラスの壁を突破できなかったカラテをようやく勝利に導くなど、まさに人馬一体となって成長している感がある。
今週のダービー卿CTでは、前走で2着に下したカテドラルと再戦予定。前走では直線で僅かな隙間をかい潜る、巧みな騎乗をみせた前走の再現なるか。57キロのハンデがカギになりそうだ。
もうひとつの見どころは、カラテを管理している高橋祥泰調厩舎について。ダービー卿CTには、僚馬のスマイルカナと2頭出しで同重賞に挑む。
高橋祥調教師といえば、1996年にタイキフォーチュンで記念すべき第1回NHKマイルC(G1)を制覇。当時を覚えているオールドファンも多いだろう。
1986年に開業してNHKマイルCで初G1勝利を挙げたが、重賞とあまり縁がなかった。
NHKマイル以降の重賞制覇は、2002年の根岸ステークス(G3)をサウスヴィグラスで勝利するまで、6年の歳月を経て達成。翌03年にサウスヴィグラスは根岸S連覇を果たすも、その後の重賞制覇は昨年20年1月。スマイルカナで制したフェアリーS(G3)まで、なんと17年もの空白の期間があった。
ところが去年から今年にかけて、いままでが嘘のような重賞勝利ラッシュを達成している点も興味深い。フェアリーS優勝後のスマイルカナは、同年12月のターコイズS(G3)も勝利。今年2月にカラテが東京新聞杯を制しているのは前出の通り。
そんな酸いも甘いも味わった高橋祥調教師は、1952年1月31日生まれ。栗東の橋田満調教師と並ぶ、キャリア39年の美浦の大ベテラン調教師は、今年で69歳を迎えた。身長171センチのスリムな体型と、70歳近くには見えない若々しいその風貌は、競馬サークル内では、知るひとぞ知るイケメン調教師として話題にあがることもしばしば。まさに”奇跡の69歳”といっても過言ではない若々しさを誇っている。
そんな高橋祥調教師も、定年を迎える70歳まで残りわずか。お世話になった関東の騎手たちは、あといくつの重賞勝ちをプレゼントできるか。スマイルカナの主戦をつとめる柴田大知騎手と同厩舎の昨年成績は、25度の騎乗回数のうち、3勝2着2回、3着2回で勝率12.0%、連対率20.0%、複勝率28.0%だった。そのうちの3勝、2着2回、3着1回は、すべてスマイルカナで挙げた成績であり、柴田大騎手にとっては大事なお手馬。いずれにせよ、スマイルカナもカラテも上位人気が予想される。
馬とともに成長する、若手騎手のさらなる成長を目撃できるか。”奇跡の69歳”・高橋祥調教師の管理馬ワンツーはあるか。快進撃が続けば、タイキフォーチュン以来となるG1勝利もあるかもしれない。
無敗のクラシック三冠馬・コントレイルら、豪華メンバー出走で盛り上がる大阪杯に負けず劣らず、見どころも多いダービー卿CTにも注目したい。
※出走を予定していたカラテ号は調教後に右前脚にツメの不安が出たため、東京新聞杯を回避となりました。