JRA 世界的良血馬の「遅すぎた」本領発揮!? 池江泰寿調教師「今までで一番強い競馬」で快勝も、すでに6歳キャリア21戦目……
先週、桜花賞(G1)の裏開催となる中山で行われた春雷S(L)は、荻野極騎手のジャンダルム(牡6歳、栗東・池江泰寿厩舎)が、1番人気の支持に応えて優勝。
芝1200mを1分7秒3という好タイムでの勝利に、乗っていた荻野極騎手は「能力が高く、器用さ、立ち回りの良さが今日は出たと思います。強い内容で勝てて良かったです」とコメント。管理する池江調教師も「中山は得意にしているし、秋はスプリンターズS(G1)を目標に逆算して使っていきたい」と語った。
池江調教師が「今までで一番強い競馬」と語った勝ち方で、一気にスプリント戦線の有力馬にも浮上したジャンダルム。
だが一方で、一部のファンからは「スプリント戦に使うのが遅すぎたのではないか」といった声も挙がっているという。
父は米国でG1を2勝したキトゥンズジョイ、母はスプリンターズS、高松宮記念(G1)の勝ち馬であるビリーヴという超良血のジャンダルムは、2歳時にデイリー杯2歳S(G2)を勝利。暮れのホープフルS(G1)でも2着に入ったことで、一時はクラシックの有力馬とも目されたが、皐月賞(G1)9着、日本ダービー(G1)では17着と惨敗。血統面を考慮してか、その後は11戦連続でマイル戦を使われている。
だがそのマイルでも、ダービー後は【1・0・1・9】とあまり芳しくなく、血統的に秘められているであろうポテンシャルを考えるとやや寂しい成績でもあった。
しかし、4走前の信越S(L)で初めて芝1400mに使われると、後続に1馬身1/4差をつける快勝。3走前、2走前は同じ1400mの阪神C(G2)と阪急杯(G3)に使われ、7着、3着と敗れはしたものの、勝ち馬からは共に0秒5差以内だった。
そして更に距離を短縮し、初のスプリント戦となった今回の春雷Sで、この好タイム勝ちである。だが、ジャンダルムはすでに6歳で、これが21戦目。母がスプリントG1を2勝したビリーヴだけに「スプリント使うのが遅すぎた」「もっと早い段階で路線変更していれば」といったネット上のファンの声もわからなくはないだろう。
「競走馬は一般的に4、5歳で能力のピークを迎え、6歳あたりから緩やかに低下していくと言われています。ジャンダルムは今年既に6歳。初のスプリント戦となった今回の春雷Sであのような強い勝ち方すれば『もう少し早い時期に使われていれば』といった声が挙がるのも無理はないと思います」(競馬記者)
今回のジャンダルムと似たような例では、初めてダートに使われたのが5歳の秋という遅い時期ながらも、その後、怒涛の6連勝でJBCクラシック(G1)を制したアウォーディーが有名だ。
同馬は奇しくもジャンダルムと同じ前田幸治オーナーの所有馬である。スプリント戦で本領を発揮したジャンダルムは、果たしてG1を制するまで上り詰めるのか、今後ますます注目が集まりそうだ。