JRA 川田将雅、相棒ダノンスマッシュ香港惨敗に内心ソワソワ!? 世界のL.デットーリ「×」→R.ムーア「◎」→J.モレイラ「?」の心は

 25日、香港のシャティン競馬場で行われたチェアマンズスプリントプライズ(G1)は、地元馬の2番人気ウェリントン)が勝利。香港期待の新鋭が重賞初勝利をG1で決めた。

 一方、昨年の香港スプリント(G1)の覇者、そして今春の高松宮記念(G1)を勝った日本最強のスプリンター・ダノンスマッシュ(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)は本来の伸びを欠いて6着。

 単勝1.4倍という圧倒的な人気を裏切る結果には、管理する安田隆行調教師も「状態はピークといって良い出来でした。強いて、(敗因を)言えば間隔が詰まっていたくらい」と首を傾げる他なかったようだ。

 国際的な名声を持つ現役最強スプリンターの惨敗……日本の競馬関係者にとってもショッキングな結果だが、中でも気が気でないのは主戦の川田将雅騎手なのかもしれない。

「香港で悪さを覚えて帰って来てしまい――」

川田将雅騎手 撮影:Ruriko.I

 川田騎手がそう語っているのは、今月『netkeiba.com』で新連載が始まった自身の企画『VOICE 川田将雅』だ。

 詳細はぜひ当インタビューを読んでいただきたいが、自身にとっても悲願達成となったダノンスマッシュの高松宮記念(G1)制覇を振り返る中で、川田騎手は本馬の国内G1初制覇が6歳春まで遅れてしまった原因の1つとして、2019年12月の香港遠征で覚えた悪癖を挙げている。

「ゲートの中で待つのが嫌で、蹴るか突っ掛けるかモタれるか、とにかくイライラして動き続けて、トラブルにならないように誤魔化すことで精一杯でした」

 川田騎手がそう語る通り、2019年の香港スプリントで8着に敗れたダノンスマッシュはその後、再び川田騎手に手綱が戻ったものの出遅れ続き……。昨年の高松宮記念でも致命的な出遅れが原因で10着に大敗し、一時は主戦降板まで追い込まれた。

「ですがその一方で、今春の高松宮記念でレシステンシアとインディチャンプとのクビ+クビの大接戦を制したことについて、川田騎手は『香港でG1を勝ったことで馬が自信をつけた』ことを大きな勝因の1つに挙げています。

2度の香港遠征は、どちらも川田騎手が騎乗しなかったレースですが、ダノンスマッシュには小さくはない変化があったようですね。川田騎手に限らず、主戦騎手なら他の騎手に変なクセなどを付けられることも嫌でしょうし、できる限りずっと乗っていたという思いはあるでしょうね」(競馬記者)

 ちなみに8着に敗れた2019年の香港スプリントではL.デットーリ騎手が騎乗し、G1初制覇となった昨年の香港スプリントではR.ムーア騎手が騎乗。2019年には出遅れ癖が付いて帰ってきたダノンスマッシュだったが、昨年には王者としての“勝ち癖”を付けて一皮むけた印象だ。

 そして今回のチェアマンズスプリントプライズでは、日本でも有名な香港のトップジョッキー、J.モレイラ騎手が騎乗している。

「この後は、秋のスプリンターズSに直行します」

 レース後、ダノンスマッシュの約半年の充電を示唆した安田隆調教師。復帰戦は当然、川田騎手に手綱を託すことが濃厚だが、果たして日本最強のスプリンターは3度目の香港で「何」を学んできたのか。主戦騎手にとっても気が気ではないのかもしれない。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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