JRA「長距離は騎手」安定感は武豊、C.ルメール以上!? 天皇賞・春(G1)「ディープインパクト産駒とは無縁」知る人ぞ知る長距離の達人とは
5月2日に行われる天皇賞・春(G1)は、日本最長距離のG1レースとしても有名だ。昔から「長距離は騎手の腕」と言われるが、そうなるとやはり注目すべきは、このレースを連覇中のC.ルメール騎手か。騎乗するアリストテレスは1番人気が予想される最有力馬の1頭だ。
一方で、3月の阪神大賞典(G2)で、そのアリストテレスらを破ったディープボンドの和田竜二騎手も知る人ぞ知る長距離レースの達人である。
「『経験』は必要だと思いますよ、長距離ではね」
和田竜騎手がそう語ったのは、自身がパーソナリティを務める『netkeibaTV』の『わだラジ』だ。詳細はぜひ、本動画を視聴していただきたいが「僕がどうこうよりも、長距離が得意な馬は乗りやすい」と謙遜しながらも「どこで息を入れるのか、そういうことは僕もわかっているとは思います」と、ベテランジョッキーならではの自信ものぞかせている。
もし、和田竜騎手が天皇賞・春を勝てば、テイエムオペラオーと共に連覇を成し遂げた2001年以来、20年ぶりの美酒ということになる。
これだけを見ると頼りなさそうだが、2016年以降の近5年間で和田竜騎手は3000mを超える長距離戦に16回騎乗しているが、実は人気を下回ったのはわずか3回しかない。
これは盾男・武豊騎手や、天皇賞・春を連覇中のルメール騎手らを遥かに上回る安定感で、3番人気で勝った今年の阪神大賞典だけでなく、2017年の菊花賞(G1)では13番人気のポポカテペトルで3着など、まさに「長距離は騎手の腕」を体現している名手だ。
「個人的に印象が残っているのは、14番人気のビッグゴールドを2着に持ってきた2005年の天皇賞・春ですね。穴党の中でも昔から有名なジョッキーですし、長距離戦での腕は抜群。本人が『ディープインパクト産駒とは無縁』と“自虐ネタ”を飛ばしている通り、騎乗馬の馬質を考えれば非常に頼りになるジョッキーだと思います」(競馬記者)
また、今年の天皇賞・春は27年ぶりの阪神開催が話題になっているが、現在の阪神3200mは1周目が外回りで2周目が内回りという独特なコース形態となっている。2月には試験的な意味合いもあって、本番と同じ3200mで松籟S(3勝クラス)が行われた。
3馬身差で圧勝したディアスティマが天皇賞・春に駒を進めたことで、さらに注目を集めている松籟Sだが、実はそこで11番人気だったタイセイモナークを2着に持ってきたのが和田竜騎手だ。これだけを見ても、ディープボンドに“乗り替わる”本番で注意が必要なのは間違いないだろう。
「体がたくましくなって走りも力強い。完成形に近づいてきた」
ディープボンドの1週前追い切りを終えた和田竜騎手は、そう自信を深めている。20年ぶりの春の盾はもう目前に迫っているのかもしれない。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。まれに自分の記事で泣く。