JRA 天皇賞(G1)にまつわる「7つの秘密」!? 年10回も開催、勝ち抜け制度……「盾」と呼ばれる理由から、皇室と競馬の関係まで!
5月2日、いよいよゲートが開く春の天皇賞(G1)。
数あるG1レースのなかでも、長い歴史を誇るのが天皇賞であり、最高峰の伝統を持つ故に、ベテラン競馬ファンでも知らない“秘密”が散りばめられている。
例えば、天皇賞のことを「盾」と呼ぶのは何故か。
春も秋も、天皇賞を制した騎手を「盾男」と呼ぶように、天皇賞の代名詞でもある「盾」というワード。その由来は、表彰式で馬主に下賜(かし:身分の高い人から、くださること)される天皇盾にある。
実は日本国内レースのなかでも、馬主に直接、手渡しで盾が渡されるレースは、春と秋の天皇賞だけ。天皇賞が「盾」とよばれる“秘密”はここにあった。
さらにこの盾にも”秘密”がある。これが2つ目。ほかのレースでは手にすることはできない盾であり、元をたどれば天皇陛下から賜(たまわ)った貴重な品物。通常は天皇賞が行われる東京・京都の競馬場で交互に保管されているという。
万が一、失くしたら保険が適用されないことから、外部業者に輸送を任せず、JRAの職員が複数人で運ぶとのこと。あまりにも由緒ある貴重な盾なので、表彰式ではこの盾を素手であつかうことは許されず、必ず白い手袋をして手渡する。
今回の天皇賞の表彰式がテレビで映し出されたら、ぜひとも注目してほしい。ちなみに優勝馬主には後日、レプリカが届けられる。
知られざる3つ目の“秘密”は、天皇賞の起源について。
日本競馬界屈指の歴史を誇る天皇賞のルーツは、今から100年以上前の明治時代までさかのぼる。1905年創設のThe Emperor’s Cup(エンペラーズカップ)がその起源で、当時は全国の競馬場で年に10回も開催されていたというから面白い。
その後、昭和時代には「帝室御賞典」と名を変えた同レースは、優勝馬の関係者に盾ではなく、花を飾る豪華な「華盛鉢」や「華盛器」などが下賜された。
しかし第二次世界大戦に突入すると、日本の国勢は悪化。豪華賞品の資源となる金や銀が不足すると同時に、天皇陛下ら皇族の地位も危ぶまれる状況となった。
その影響か、終戦後の1947年には「平和賞」と名称を変えて施行され、春の開催では下賜された品物は無かったという“秘密”記録が残っている。
天皇陛下と天皇賞といえば、平成時代に「天覧競馬」は2度実現している。