JRA 福永祐一「痛恨不利」で大器ルペルカーリア日本ダービー出走へ黄色信号!? 京都新聞杯(G2)1番人気も想定外「暴走逃げ」で敗戦……
8日、中京競馬場で行われた京都新聞杯(G2)は、3番人気のレッドジェネシス(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)が勝利。30日に行われる日本ダービー(G1)の出走をほぼ確実なものとした。なお鞍上の川田将雅騎手は、これで早くも重賞10勝目と絶好調だ。
一方、賞金加算へ必勝態勢で挑みながらも同厩のライバルに足をすくわれたのが、1番人気で2着に敗れたルペルカーリア(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)と福永祐一騎手だ。
痛恨の敗戦となるかもしれない。11頭立てで行われた芝2200mのレースで、ルペルカーリアは絶好のスタート。福永騎手は「2番手でもいい」と外からハナを主張したブレークアップを先に行かせる構えを取ったが、ここで最内枠から外へ進路を求めた藤岡佑介騎手のワイドエンペラーと軽く接触。一気に火が付いてしまった。
逃げるブレークアップを交して先頭で1コーナーを回ると、3番手以下の集団をやや引き離す形となり、スタンドからはどよめきの声が上がる。この流れにはレッドジェネシスの川田騎手も「この流れなら、追い掛けなくていいな」と内心ほくそ笑んでいたようだ。
それでも福永騎手が「ハナに立ってからはペースを落とせたし、息も入れられた」と振り返った通り、上手くルペルカーリアを落ち着かせると1000m通過は59.9秒のミドルペース。この時点では、ルペルカーリアにもまだ勝機があったはずだ。
しかし、最後の直線入り口で一時は後続を突き放しにかかったルペルカーリアだが、福永騎手の「苦しくなって左にもたれた」との言葉通り、じょじょに失速。最後はレッドジェネシスにしっかりと差し切られてしまった。
「うーん、惜しいレースでした。非常にいいスタートを切ったルペルカーリアですが、福永騎手も逃げる競馬は想定していなかったでしょうね。逆に『(スタートが)良過ぎた』と言えるかもしれません。
そこで内から外に来たワイドエンペラーと軽く接触したことが痛恨。2ハロン目の11.1秒もやや速いですが、3ハロン目の11.3秒が結果的には致命傷になりました。『ペースを落とせた』との言葉もあった通り、4ハロン目を12.7秒まで落とせたことが2着に粘れた最大の要因だと思います」(競馬記者)
日本ダービー出走へ、必勝を期して挑んだルペルカーリアだけにアクシデントがあっての2着は痛いに違いない。しかし、福永騎手は本馬に対して、もっと先を見据えているのかもしれない。
「最後は止まってしまいましたが、福永騎手は『バテたわけではない』と話していましたね。奥手のモーリス産駒らしく、まだ成長途上で『これから体が整えば、強力な先行馬になれる素質を持っている』とコメントしていました。
母シーザリオの兄弟で強力な先行馬といえば、やはり菊花賞(G1)とジャパンC(G1)を制したエピファネイア。福永騎手も以前『エピファネイアになってきた』とルペルカーリアの成長を語っていましたし、リオンディーズやサートゥルナーリアら兄弟の中では、やはりエピファネイアが最も近いタイプということなのでしょう」(別の記者)
敗れはしたが2着に粘ったことで賞金の加算には成功し、これで収得賞金1500万円となったルペルカーリア。現状では日本ダービーの賞金ボーダーをクリアしているが、明日のNHKマイルC(G1)を含め、他馬の動向次第となりそうだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。