JRAソダシ“距離限界説”払拭のカギはデアリングタクト!? オークス(G1)「14年連続」サンデーサイレンスの牙城を崩したあの馬の存在が克服か
23日に東京競馬場で行われるオークス(G1)は、白毛のアイドルホース・ソダシ(牝3歳、栗東・須貝尚介厩舎)の牝馬無敗2冠達成がなるかに注目が集まる。
そんなソダシに立ちはだかるのが「2400m」という距離の壁だ。管理する須貝調教師は『サンスポ』の取材に対し、「デビュー時から桜花賞よりオークスを目標にしていた」と語るなど、800mの距離延長に自信を見せる。
しかし、父クロフネの種牡馬としての成績を見ると、“距離限界説”が浮上するのは何ら不思議ではない。
「クロフネは、芝ダート兼用の一流種牡馬で、これまで産駒はJRAの平地重賞で40勝を挙げています。うち9勝がG1ですが、距離は全て1600m以下の短距離戦。重賞に範囲を広げても、40勝すべてが1800m以下です。1800mを超える距離の平地重賞はこれまで一度も勝ったことがありません。
特に牝馬の活躍が目立つクロフネ産駒。これまで8頭がオークスにも挑戦しましたが、2011年に2番人気で臨んだホエールキャプチャが3着に食い込んだのが唯一の好走(馬券圏内)です。クロフネ自身も現役時代、2番人気に支持された2001年の日本ダービーで直線失速し、ジャングルポケットの5着に敗れました。活躍した産駒の多くはマイラー色が強いスピードタイプの馬です」(競馬誌ライター)
クロフネ産駒のソダシは実際にこれまで2度レコードタイムで勝つなど、非凡なスピードの持ち主だ。しかし、最大の魅力はそのスピードを持続する力だろう。前走の桜花賞でもハイペースを先行し、早め先頭で押し切る強い内容だった。瞬発力には劣るが、厳しいペースでもバテないそのスタミナは祖母シラユキヒメの影響が大きい。これまでシラユキヒメ一族はダートの中距離を主戦場とし、ソダシの伯母にあたるユキチャンは南関・川崎の2100m戦、関東オークス(G2)を制している。
そんなダート色の濃い白毛一族から誕生したソダシが芝でも活躍できているのは、母父キングカメハメハの影響が大きいのではないだろうか。
10~11年に種牡馬として2年連続リーディングを獲得したキングカメハメハ。昨年は初のBMSリーディングに輝き、14年間続いたサンデーサイレンスの牙城をついに崩した。BMSとしては、すでに6頭のG1馬を輩出。中でもデアリングタクトの活躍は記憶に新しい。ソダシがオークスを勝てば、昨年の桜花賞から牝馬3冠レースを5連勝ということにもなる。
母父キングカメハメハ産駒の特長の一つが距離の融通性だ。これまで平地重賞で33勝しているが、半数以上の18勝が1800m以上の中長距離である。クロフネを父に持つソダシにとって母父キングカメハメハの存在は頼もしい限りだろう。
これまで数えきれないクロフネ産駒が距離の壁にぶち当たってきたが、今年のオークスはキングカメハメハがその壁を取り払ってくれるに違いない。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。